議会活動報告(12期)

[ 総括 ] 令和元年第5回沖縄県議会(9月定例会)代表質問

玉城知事の県政運営の問題点を追求


[ 総括 ] 令和元年第5回沖縄県議会(9月定例会)代表質問


 今、沖縄県は大きな曲がり角に立たされています。確かに県経済は観光を中心に好調で雇用も安定しています。

しかし、その陰で年々県の財政運営は苦しくなって来ています。

辺野古移設問題をめぐり、国との対立が激しくなり、関係改善が遠のいてしまったことが原因です。

沖縄の米軍基地の存在が過重でその負担の軽減を求めるのは当然です。

だからこそ、歴代の県政は、「基地の整理縮小」を求めて来たのであり、その成果も着実に出ているのです。

最近では、平成27年(2015年)にキャンプ瑞慶覧の西普天間住宅地区が返還されました。その規模は東京ディズニーランドと同規模の50haと大規模であり、国際性を踏まえた沖縄健康療拠点の形成に向け取組みが進められています。

そして平成28年(2016年)には、北部訓練場の過半の4千haが返還され、世界自然遺産登録を目指して関係機関で取り組みが進めらます。

このように県内の米軍基地は、間違いなく減少や整理縮小されて来ており、平成元年(1989年)に2万5026haであった米軍基地面積は、現在は1万8822haと24・8%減少しているのであります。

さらに、嘉手納以南の普天間飛行場を含めた施設・区域の大規模返還が実現すれば、当該地域だけでなく県経済全体に及ぼす効果は絶大です。

確かに、現在、本県は70%強の米軍基地を負担している状況にあることは事実であり、理不尽として県の主張の正当性を持ち出すのは理解できますが、将来的には県経済の自立を目指す上で、国からの財政支援は必要であり、そのため国といつでも話し合える良好な関係は維持すべきです。

しかし、翁長知事からつづく玉城知事も裁判で負け、県のやり方は違法と最高裁での判決が出ても、それを無視し、新たな裁判を提起し国との対立を続けています。

しかも今回県が提起した二つの裁判は、当初から専門家などから県に勝ち目はないと言われていたのであり、去る9月18日に開かれた、福岡高裁那覇支部での裁判は、たった1回の審理で即日結審しており、マスコミも県の請求は却下される可能性もあると報じています。

県政のあり方として、今一度、普天間飛行場の早期返還に目を向け、その実現を如何に図るかが重要であり、県内の基地の整理縮小に目を向けるべきであると考えます。

今回の9月定例会で、沖縄・自民党は、代表質問で、次の3項目を中心に厳しく玉城知事を追求しました。


(1)いつまで続く裁判闘争 ― 玉城知事は何を考えている?


(2)玉城知事は本当に普天間飛行場の県外への移転を考えているの?


(3)沖縄振興予算は減額続き ー 打つ手のない玉城知事


1 いつまで続く裁判闘争
玉城知事は何を考えている?

 沖縄・自民党は、一向に進まない世界一危険とされる普天間飛行場の危険性の除去及び早期返還を実現するため、今議会でも、「撤回の効果」、「辺野古移設問題に係る訴訟の提起」、「在沖海兵隊のグアム移転と辺野古移設問題」等、辺野古移設問題に対する玉城知事の政治姿勢を追求しました。

 これに対し玉城知事は、国は県民の意思を無視している。国交相の裁決は違法であるので裁判を提起したなど、単に県の立場を言うのみで、具体的に普天間飛行場の返還をどうするか。辺野古移設埋め立て工事をどう止めるか等に関する明確な答弁はありませんでした。

 普天間飛行場の代替施設移設問題は、平成8年(1996年)12月にSACO最終報告で5年乃至7年以内に十分な代替施設が運用可能となることを条件に、普天間飛行場を全面返還することが合意されてから、23年が経過しておりますが普天間飛行場の返還は未だに実現していません。

 普天間飛行場を抱える宜野湾市の苦悩を考えれば、何より、その代替施設の移設問題を最優先に考え、一時も早い返還につなげる方策を県政の最優先課題として取り組むべきです。

 この5年間の翁長知事から玉城知事までのオール沖縄県政は、辺野古移設を阻止する。を言い続けるだけで、現実に進む埋め立て工事を止めることは出来ません。その理由は、国は法令に従って適切な手続きを得て工事を行っているからです。

 現に県が提起した二つの裁判に内、去る9月18日に開かれた、福岡高裁那覇支部での裁判は、たった1回の審理で即日結審しており、マスコミも県の請求は却下される可能性もあると報じているのです。

この先、県は延々といつまで国との対立を続けて行くつもりなのか、本県の歴代知事がこれまで県政の重要課題柱としてきた「基地の整理縮小」に立ち返ることが必要であると考えます。

そして、普天間飛行場を含む嘉手納以南の大規模基地の早期返還の実現を図り、更なる基地の整理縮小に取り組むべきであります。

2 玉城知事は本当に普天間飛行場の県外への移転を考えているの?

普天間飛行場の返還については、翁長前知事もその遺志を継いだ玉城知事も「県外・国外移設を求める」というのが県民との約束であり選挙での公約です。

 そして玉城知事は、これまでの県議会において、普天間飛行場の県外・国外移設を求めると、答弁してきています。

玉城知事は、全国でのトークキャラバンを展開しておりますが、その目的は、沖縄の基地負担の現状や辺野古移設工事の現状を全国に訴えると言うものです。

しかし、9月8日の大阪でのトークキャラバンで、「沖縄県民も(県外に)引き取ってほしいと望んでいるわけでなない」と、全く矛盾した発言をしています。

辺野古移設問題を訴えると言うのであれば、出席者に向け、皆さんの県で普天間飛行場を引き受けて下さいと、直に訴えるべきです。

 しかし、知事は、会場の出席者に向かい、「沖縄県民も(県外に)引き取ってほしいと望んでいるわけでなない」と、言ったのです。

 沖縄の基地負担を全国で応分に負担すべきと、翁長知事も玉城知事も求めていたのではないか、玉城知事の言うように、本当に沖縄県民は県外に基地の引き取りを望んでいないのなら、普天間飛行場はそのまま沖縄で引き受け続けると言うことになります。

 一方で玉城知事は、普天間飛行場の代替施設の建設を進めるキャンプ・シュワブ辺野古崎の埋立を認めないと言っております。そうであれば、現に存在する普天間飛行場はどうするのか、知事は明確な考えを示していません。

玉城知事の言葉を借りれば、普天間飛行場の代替施設は辺野古以外に別に県内の他の場所に移設しなければなりません。

すなわち代替案の提示が必要になります

 しかし、玉城知事は、普天間飛行場の具体的な代替案については、国会の議論だけでなく、国民を主体として国民的な議論によって決定すべきと答弁しています。

この答弁で納得する県民がいるでしょうか、国民的な議論をどのように行うか、代替案を受け入れる県をどのように決めるのか、いつまでに受け入れる県を決めるのか、期限を切るのか、延々に議論を進めるのか等々、出来る訳のない考えを述べており、まったく無責任な答弁です。

 単に反対のための反対で国との裁判闘争を続け、全国に向け理解を求める行動をいくら展開しても、普天間飛行場は一歩も動きません。

 今の玉城知事の行動や県政の動きが長引けば長引くほど、普天間飛行場を固定化させることに繋がることは間違いありません。

3 沖縄振興予算は減額続き
打つ手のない玉城知事

令和2年度の沖縄振興予算概算要求について、沖縄県の要求を受け内閣府一括計上概算要求額が示されました。

 結果は、沖縄県要求3,500億円に対し、内閣府の概算要求額は3,190億円と、昨年度とほぼ同額となっています。

沖縄県が特に重要視してきた、一括交付金につては、県の要求額1,800億円から、大幅な減額となる1,188億円となり、その内訳は、沖縄振興特別推進交付金(ソフト交付金)800億円要求が608億円、沖縄振興公共投資交付金(ハード交付金)1,000億円要求が579億円余と大幅な減額となっています。

このように一括交付金は、3年連続の大幅減額となっており、県及び市町村が行う独自事業の継続や新規事業の実施に支障が生じるなど、深刻な影響が出ています。

 この結果について知事は、主要な関係機関等への要請を行ったと言っておりますが、内閣府の段階で大幅な減額査定となった現状に何があるのか、知事から明確な答弁はありませんでした。

 わが会派も、市町村におけるハード一括交付金の3年連続の減額で大幅な事業の遅れが出ていることから、党本部や自民党振興調査会及び美ら島議連等に要請を行って来ております。

 しかし、予算の要請に行きながら、政府や関係機関に要請したそのそばで辺野古反対を言い、国の姿勢に民主主義を欠き、法治国家でないなど、140万人余を代表する知事とも思えぬ国批判を繰り返している現状で、国との信頼関係は築けるはずもありません。

 要は、知事の国に対する姿勢の問題であります。

 また、沖縄21世紀ビジョン基本計画は残り3年を切っており、復帰50年に向け新たな振興計画の策定が求められています。

 21世紀ビジョン実施計画に掲げた257施策について、2018年度における推進状況の判定結果が公表されましたが、その内容は、順調に進んでいるは131施策の53%であり、遅れている、大幅遅れは95施策の37%となっているようです。

 この結果から見るように、振興計画の継続は不可欠であり、次の振興計画の策定作業はまたなしです。

 辺野古移設反対を公約とする以上、その姿勢を堅持するのは仕方がないとして、国に対する敵視姿勢は不必要であり、信頼関係をいかに築くかを考えるべきであります。


関連記事