[ 総括 ] 令和二年第1回沖縄県議会2月定例会代表質問を終えて
2月県議会 – 沖縄・自民党の主な質問内容
2月定例会において沖縄・自民党は、3人が代表質問に立ち玉城知事の政治姿勢や各種政策について、下記の事項を中心に問題点を追及した。
1:普天間飛行場の早期返還問題について(辺野古移設問題)
2:新たな沖縄振興計画の策定について
3:北部基幹病院設置について
4:豚熱(CSF)発生・対策について
5:新型コロナウイルス発生について
国は、名護市辺野古への普天間飛行場の代替施設建設については、代替施設の完成までの工期を当初の8年から約12年へと、計画を見直しました。
それに伴い、普天間飛行場の返還時期は2022年から2030年以降に遅れることとなります。
要因は、軟弱地盤改良工事が影響したことは間違いありませんが、翁長前知事から玉城知事へと続いたこの5年間で移設作業を遅らせてきたことも影響しております。
本来、米軍基地の整理縮小を求めてきた沖縄県としては、普天間飛行場の一日も早い危険性の除去や早期の返還につながる方策を示すべきであり、そのために国との協力や連携を図るべきです。
この5年間、オール沖縄県政は、国との対立が県政の主要目的化し、意図的なまでの非協力を続け、国の作業を遅らせることだけに専念してきています。
その一方で、国と話し合って解決したいと言っておりますが、普天間飛行場の返還については、何等の方策も見通しも示し得ない中で、対話で何を解決すると言うのか不可解です。
◎玉城知事は、国交大臣が県のなした撤回処分を取消した裁決は違法として、裁判を提起しましたが、福岡高裁那覇支部で却下され、県の訴えは門前払いされたにも関わらず、裁判所の判決は誤りと断じ最高裁へ上告、裁判所の判断を違法と批判し従う姿勢は見られません。
◎また、知事は、沖縄防衛局の一般サンゴの特別採捕許可申請をとうに標準処理期間が経過しているのも関わらず放置しています。
前翁長知事の際には、適正に申請されているとして許可していましたが、玉城知事は、政治的な判断で許可を引き延ばしています。
本来、国交省が知事の撤回処分を取消す裁決を行ったことで、現在法的には撤回処分の効力は失われており、知事の政治的思惑で許可を引き延ばすのは行政の公平性をゆがめており違法そのものです。
◎辺野古施設問題で玉城知事は、裁判の結果を尊重すると発言した。
令和元年11月定例会の一般質問で、わが会派の中川京貴議員の「辺野古の埋め立てで最高栽決着がついたときは、知事は法律を守るか、守らないか」との質問に対し、「真摯に遵法の方針を守って行きたい。」と答弁した。
また、2月定例会で、わが会派の座喜味一幸議員の代表質問で、国との二つの訴訟で、池田公室長は、「一般論として、司法の最終判断に従うことになる。」と答弁した。
この二つの答弁は、法治国家における県知事の姿勢として当然な事であるが、これまでのオール沖縄県政の頑なな姿勢からは、今後の辺野古移設問題の解決を図る上で前進である。
令和2年度沖縄振興予算が確定しましたが、県が求める満額確保は認められず、特に一括交付金は大幅な減額となっており、市町村の事業の推進に大きく影響することは避けられません。
今や、一括交付金は市町村独自の事業展開を図る上で必要不可欠となっておりますが、翁長前知事から玉城知事へと続くこの5年間で減額され続けております。
何故、毎年度減額され続けるのか、その理由は、オール沖縄県政・玉城知事の国に対する対応の仕方・姿勢にあります。
◎辺野古移設阻止・反対を公約に掲げて当選した知事として、辺野古の埋め立て工事に反対し、裁判を提起し、国のやり方を民主的でないとして批判するのは、仕方がないとしても、裁判の結果が出たらそれに従うのが、これも民主主義であります。
しかし、翁長前知事や玉城知事は、最高裁判所の判断が示されてもこれに従わず、また、法令に基づき適正になされた許可申請も審査期間が大幅に経過したにも関わらず手続きを放置し、国と対立を続けています。
◎県は、令和3年度末に切れる21世紀ビジョン基本計画に代わる、新たな沖縄振興計画の策定や沖縄振興特別措置法の延長を求めることとしています。
沖縄振興には、一括計上予算の他、諸々の特別措置や高率補助があり、県及び市町村財政への影響は計り知れません。
県も沖縄振興特別措置法に基づく振興交付金など各種の特別措置は、沖縄が抱える特殊事情から生じる政策課題に対応するための制度であり、これらの政策課題が解消されるまで継続が必要としています。
その一方で、知事周辺からは、沖縄振興予算や特別措置、高率補助等は必要ないと、堂々と不要論が出ておりますが、知事や県幹部は、その声を止めることはせず、黙認しています。
このように国を逆なでするような不要論を黙認しながら、国には、予算や特別措置等を認めてくれと言っても、容易に国の理解を得るのは難しいと言わざるを得ないのが玉城県政の現状です。
◎復帰後、50年と約半世紀も国の振興計画の支援を受けており、更に今後10年間の新たな沖縄振興計画の策定や沖縄振興特別措置法の延長を求めるからには、相当な理論構成で国の理解を得ることが必要です。
現状は、振興予算や一括交付金の減額が続いており、そのような中で国の全面的な支援を得るには、如何に国との信頼関係を構築し得るか、玉城知事の政治姿勢次第であると考えます。
○北部地域には、人口約10万人、12市町村が存在し、医療体制は、北部県立病院(327床)と北部地区医師会病院(200床)があるが、15診療科が重複することで医療提供体制が分散され、慢性的な医師不足に陥っています。
特に、産婦人科は度々休診するなど医師が不足しており、ハイリスクの妊婦は受け入れないなど制限されています。また、外科や脳神経外科は北部では対応できず、中部の病院に搬送するなど、命に関わりかねない現状にあります。
このように、北部の入院患者はその2割が中南部の病院に流出していると言われ、「地域での完結が理想」との二次医療圏が危機的状況にあります。
○そのため、名護市にある県立北部病院と北部地区医師会病院とを統合し、新たに北部基幹病院の設置に向けて県と北部12市町村との間で話し合いが行われてきました。
その話し合いの中で、北部市町村側から出された要望や意見を基に県が示した、「基本的な枠組み合意書案」を、2月4日、北部市町村会が受け入れる方針を確認したことで、2年間に及ぶ北部基幹病院設置問題は実現に向け動き出したと思われていました。
しかし、その後、報道によれば、知事と県政与党との非公式会談で、合意書案に慎重に対応するよう求め、異論が出たようであり、担当部との議論で、統合ありきでなく、有識者会議で北部の病院のあり方を検討し直すよう要求したようであります。
○それを受けて玉城知事は、「合意書案に合意したからすぐに進める訳ではない」と述べたと言われ、県立でない合意書案に玉城知事が了承するか不透明となっています。
2月定例会でのわが会派議員の質問に対しても、知事は明確に合意書案通りに進めるとの答弁はなく、そもそも合意書案は県が示したものであり、当然、知事も事前に説明を受け了解していたことは明らかでありながら、自らの公約である問題に軽々な発言をすることは県知事として許されるものではありません。
○1986年10月以来33年以来の「豚熱」の発生は、本県畜産業の根本を揺るがす衝撃となりました。
県は、去る1月8日、うるま市の養豚場で豚熱が発生したと発表、その中には沖縄固有種のアグーも含まれていたことから、本県養豚業の将来が心配されたのであります。
その後、感染は他の養豚場でも確認され、更に沖縄市の養豚場へ拡大し、1週間で、7,326頭が殺処分されました。
県は、最終報告として県内7養豚場の9,043頭の全てが殺処分され埋却を終えたとしておりました。
○豚コレラは、一旦発生すると際限のない被害となることから、沖縄自民党は、平成31年第2回定例会の代表質問で、水際対策、防疫体制を強化するよう質問しています。
それにもかかわらず、本県で感染が発生しました。
しかも、最初に豚コレラが見つかった業者の養豚場では、11月下旬に飼育している豚に異変が出ていながら、県へ通知したのは年明けの1月6日と大幅に遅れています。
遅れた要因は、業者によれば県の家畜保健衛生所が24時間対応であることを知らなかったと言うことです。
県は、説明会で何を説明したのか、防疫対策の基本であり初歩的注意事項さえ徹底されてなく、その後のきめ細かい指導や監視体制に疑問が呈されています。
○県は、感染拡大を防ぐため本島全域で飼育する豚やイノシシへのワクチン接種を、2月28日から開始するとしていましたが、25日にうるま市で6例目となる豚熱感染が発生し、1039頭が殺処分されました。
これにより制限解除に向けた防疫手続きはやり直しとなったようであり、県の取組みは後手に回っていることは明らかです。
中国で発生した新型コロナウイルスが、瞬く間に世界中に広がり、中国武漢からの帰国者やわが国横浜港に寄港したクルーズ船での船内感染で、多数の感染者が出ています。
更に、感染は全国的に拡大し、死亡者も出るなど更なる感染者の増大が懸念されています。
横浜港に寄港したクルーズ船ダイヤモンド・プリンセスは、本県にも寄港しており、その際多くの観光客が下船し、タクシーなどの交通機関の利用で、本県においても感染者が出ています。
観光が基幹産業である本県にとって、海外からの観光客を止めることは難しいことであり、更なる拡大を防ぐためにも県の保健所を中心とした防止対策が必要であり、関係企業や県民に対するきめ細かで的確な情報提供が必要です。