代表質問

[代表質問] 島尻忠明 令和6年第3回沖縄県議会9月定例会

令和六年10月2日(水)
第3回沖縄県議会(9月定例会)の代表質問に沖縄自民党・無所属の会より島尻忠明議員が2番手に立ちます。以下の質問項目を事前通告いたしました。


令和6年10月2日(水)

第3回沖縄県議会(9月定例会)代表質問

島尻忠明(しまじりただあき)(会派:沖縄自民党・無所属の会)


1:経済産業振興について


(1) 今夏、一時1ドル161円90銭と37年ぶりに円安が進展し、資源エネルギー価格の高騰が輸入依存の我が国へ打撃を与えたが、歴史的な円安環境は政府・日銀による市場介入もあって一服した感がある。しかしながら、消費者物価指数及び国内企業物価指数はいずれも依然として上昇傾向にあり、国民・県民経済への影響が引き続き懸念されるところである。県としてこれまで実施してきた物価高対策の状況と今後の見通しについて、伺う。


(2) 琉球泡盛の市場拡大については数十年にわたって取組がなされてきたが、世界のスピリッツ市場でもいま一つ飛び抜けることができない状態にある。最近では黒糖を用いたラ ム酒製造など独自の取組を講じる酒造メーカーも見られるところ、県が主導し、泡盛業界と一体となった国際化・市場化・ブランド化への取組をどのように考えているのか、伺う。


(3) 先日発表された県内住宅地価は9年連続の上昇となり、伸び率も全国1位となり、不動産関連産業にとっては活況を呈している状況にある。一方で、1人当たり県民所得や毎月勤労統計、実質賃金などの指標や可処分所得も低位にあり、県民にとっては暮らしにくい環境となっているのではないか。さらなる地価高騰による家賃水準の上昇などが続けば、失業率の上昇や生活保護世帯の増加といった負の側面も考えられるが、県経済への影響についてどのような認識か、伺う。


(4) スタートアップ支援施策の取組について


ア:玉城知事が会長を務めるおきなわスタートアップ・エコシステム・コンソーシアムが策定した目標値の進捗状況について、伺う。


イ:2028年までの目標達成の見通しと課題について、伺う。


(5) 本年7月に超党派の有志市町村議員がОIST推進議員連盟を発足させたが、県として議員連盟の意義をどのように捉えているか、また今後どのような連携を図ることができると考えているか、伺う。


(6) 人材不足が叫ばれる中において、有効求人倍率を産業間で比較すると不足分野と余剰分野の差が明確となっていることが分かる。特に技術や資格を持たない一般事務系労働力の余剰が顕著であり、職業能力開発の促進やОJT・Оff―JT等のハイブリッドの取組を進める必要があると考える。産業間の労働力ミスマッチを解消するための県の考え方を 伺う。


(7) 昨年取りまとめられた経済対策を受け、本年実施されている定額減税により、原則として所得税・住民税の合計で1人4万円の税額控除を受けられることとなっている。これが支出に回るのか、貯蓄に回るのか、いわゆる家計の消費性向を考慮した場合に、県内経済へはどのような効果が見込まれるのか、伺う。


(8) 全国的に最低賃金が引き上げられ、沖縄県でも過去最高の952円となることが決定された。賃金水準が高まり、消費へつながり、企業収益の増加につながり、さらに賃金水準を高めるという好循環が生まれる契機となる一方で、経営基盤の弱い中小零細企業にとっては大きな経営課題となることが考えられる。中小企業支援の観点から、賃上げと両立できる経営を支援するために、県としてどのような取組が必要か、伺う。


2:子ども子育て支援について


(1) 玉城知事は沖縄における子育ての環境が歴史的にどのような変遷を経たのか、また現在の状況をどのように捉えているのか、基本的な課題認識について伺う。


(2) 貧困状態からの脱却に向けた中長期・短期の対策について


ア:県の取りまとめた子どもの貧困対策に関する最終評価報告書によれば、多くの指標で改善が図られているとされているが、実感として県内の子どもの貧困状態の解消が着実に進んでいるのか疑問が残る。指標選択の合理性・妥当性等そのものの在り方を含め、これまで10年近く実施してきた子どもの貧困対策事業について包括的な検証を行う機会を設けるべきではないか、県の考えを伺う。


イ:子どもの貧困解決には、短期・中長期の各施策、指標を再整理する必要があると考えるが、新・沖縄21世紀ビジョン実施計画においては、どのような改善が図られたのか、伺う。


ウ:子どもの貧困対策として国や県から委託事業を受けている事業者の実態把握はなされているのか、伺う。


(3) 令和6年4月1日時点の待機児童数は速報値で356人となり、下げ止まりの傾向となっている。待機児童解消の課題は、保育士不足だということがはっきりしてきている中で、保育士の確保が進まないのはどのような課題があり、課題解決の障壁となっているのは何だと考えているのか、県の見解を伺う。


(4) こども家庭庁は今般ひとり親家庭への支援策に関する自治体向けの補助メニューを集約し、3つの支援パッケージを新設する方針を示したところであるが、ひとり親家庭の多い本県では大いに活用が望まれるところである。本県のひとり親家庭の状況と本パッケージにより見込まれる政策的効果について、伺う。


(5) 保育職に係る公定価格については国家公務員の地域手当の地域区分を原則とし、地域の事情において一定程度の加算が認められているが、せんだっての質問事項にもあるとおり、全国水準を上回る消費者物価指数の伸びが続いている本県では原則的な公定価格では生活が苦しく、保育従事者の確保につながらないおそれがある。県として、公定価格の設定ルールの見直しについて国に働きかけを行っていく考えはないか、伺う。


3:文化観光スポーツ行政について


(1) コロナ禍を経て沖縄観光の付加価値がインバウンド・アウトバウンド双方に認められ、一層期待と魅力が高まっていると思われる。一方で、需要を賄うだけのサービス供給体制、すなわちオーバーツーリズム対策など質の確保が課題となっているところだが、県の基本的な認識を伺う。


(2) 「見せる復興」をコンセプトに進んでいる首里城正殿等の復旧・復興であるが、平成の復元と比較しつつ、最終的に要する費用はどの程度の規模になるのか、伺う。


(3) 中城御殿跡地の整備について


ア:首里城復興に合わせて整備されている中城御殿跡地については、県の土地に県が施設を整備するものであり、整備後も県が責任を持って管理すべきであると考えるが、中城御殿跡地整備の管理体制について、伺う。


イ:中城御殿跡地の整備において、一部那覇市が博物館施設を整備すると聞いている。そうであるならば、博物館エリアについては那覇市が管理するとしても、それ以外のエリアについては首里城公園との一体性を考えれば県が責任を持って管理すべきではないか、伺う。


(4) 大型МICE整備事業が入札不調となり、実質的に2度目の事業頓挫に追い込まれかねない状況にある。МICE施設の整備を心待ちにしている周辺市町村からは極めて厳しい声が聞こえてきており、今後の事業可能性への不安が高まっている。これから大型МICE整備事業はどこに向かっていくのか、伺う。


(5) 入域観光客数の増加とともに海難事故・水難事故が増加している状況にあるが、危険区域の周知や安全にレジャーを楽しむ方法の周知などにより、事故率を最小限にとどめる手だてを講じる必要がある。海の安全・安心をいかに確保していく考えか、伺う。


(6) 県の検討委員会において観光目的税を定額制から定率制とする方針転換がなされたところであるが、観光業界の皆様の声を受けた対応は評価できる。一方で、導入に当たっての課題は山積しており、どのような課題認識とスケジュール感を持って進捗を図っていく考えか、伺う。


(7) 観光の裾野は広く、ワーケーション、ラーケーションなど新しい観光の形が概念化されてきている中で、伝統的な観光形態のみならず、こうした新しい観光形態に対しても観光振興基金を活用して支援を講じるべきと考えるが、県の考えを伺う。


(8) プロ・アマ問わず、本県出身者のスポーツ界での活躍が著しいところであり、より一層スポーツ競技力向上に向けて公的支援を注入することが求められているのではないか。各競技団体との連携を今後どのように図っていく考えか、伺う。


(9) パリオリンピック・パラリンピックでの日本人アスリートの目覚ましい活躍が記憶に新しいところであるが、県内にはパラリンピック競技者のトレーニング施設がなく、整備が望まれている。今後、施設整備の計画を進める考えがあるのかどうか、伺う。


(10)観光立県である本県にあっては、観光客の移動に当たって十分な情報提供をすべきであるが、道路案内標示板のペンキが剝がれ、表記に判別困難なものが数多く見受けられる。一方で道路案内標示板の役割に代わる機能を果たしていると思われるナビゲーションアプリ等の発達も目覚ましいが、管理当局としてどういった認識の下で適正管理を進めていく考えか、伺う。


4:健康保健・医療介護・生活福祉について


(1) 中部病院の建て替え問題については、現地建て替え案と移転建て替え案の双方が対立しているような状況と見受けられるが、改めて県民に分かりやすい説明を旨としつつ、それぞれのメリット・デメリットについて、伺う。


(2) 北部医療センターの開設に向けては、建設費用の増加が課題となっていると聞いているが、工程に変更はないのかどうか、財源確保についてどういった対応を図っていく考えか、伺う。


(3) 小児救急医療については中核病院での一部サービス停止など、県民にとって不利益となる状態が見受けられているところだが、サービスを持続可能なものとするためには、どういった取組が必要と考えているのか、伺う。


(4) 特殊詐欺被害が後を絶たないが、外国人グループの暗躍やネット社会に特有なアンダーグラウンドでの犯罪行動が根底にあると思われる。被害防止対策のための取締り強化策について、当局に伺う。


(5) 県内大学への薬学部設置の取組について、琉球大学を含めて現在どのような進展があるのか、伺う。


(6) 若年者を含めた薬物流通・乱用防止の取組について、伺う


(7) さきに述べたように保育職のみならず、介護・福祉職に係る公定価格についても、地域区分の見直しを図っていくことが重要かと考えるが、見解を伺う。


(8) 火葬場の逼迫は喫緊の課題となっており、大規模災害時の広域利用の取組に加えて、平時においても広域利用が可能となるような仕組みづくり、市町村への働きかけ、支援策を県として考えられないか、伺う。


(9) 違法なオンラインカジノやギャンブル依存症は貧困問題の一因となっているという指摘もあるが、取締りや対策についてどういった取組を講じているのか、伺う。


(10)今月から適用された新しい水道料金について、昨年度2月補正予算、本年度6月補正予算において値上げ幅を圧縮するための措置がなされたと思うが、具体的にどの程度圧縮が図られたのか、伺う。


5:農林水産行政について


(1) ゆがふ製糖に対する工場冷却水の対策については、予備費での緊急的な措置がなされたことに議会の総意に対して迅速な対応がなされたものと大いに評価できる。他方、伊良部島をはじめとする製糖工場の老朽化が著しいところがあるのも事実であり、対策を講じる必要がある。働き方改革への対応も含め、安定操業のための取組について、県として何らかのパッケージ施策を取りまとめる必要があるのではないか、伺う。


(2) 県内飼料価格高騰の現状はどのようになっているか、追加対策の必要性はその後生じていないのかどうか、伺う。


(3) 6月補正で計上された和牛畜産農家の経営安定化緊急支援に関しては附帯決議を全会一致で採択したが、決議の趣旨を踏まえて、どのような措置を講じているのか、伺う。


(4) 耕土からの赤土流出防止対策について、台風や大雨後は海の色が異なるぐらいに汚濁があからさまである。具体的な改善指標などが設定されているのかを含めて、現状を伺う。


(5) 沖縄の地理的・気候的特性に根差した農産品は多岐にわたると思うが、これらを組み合わせ、付加価値の高い農林水産ブランド品を開発し、6次産業化へとつなげていく取組について、どのような対策を講じているのか、伺う。


(6) 県内における海業振興に当たって、良質な種苗生産や陸上養殖などを含め、「稼ぐ漁業」を目指す取組をどのように進めていくべきか、伺う。


(7) 沖縄県のクロマグロ漁獲枠の現状とさらなる増加に向けた取組について、伺う。


6:人材育成・教育行政について


(1) 学校経営改革について


ア:教育庁本庁と各県立学校は行政組織上、どのような関係にあるのか、伺う。


イ:各学校における入札契約のほか総務事務などのいわゆるアドミニストレーション業務については、本庁で一括して実施することなどにより事務効率化、コスト削減を図ることはできないのか、伺う。


ウ:テストの採点集計や資料印刷、種々の取りまとめ事務などについて、教員の教務を補佐するスタッフを充実させることにより、負担軽減を少しでも図ることはできないか、伺う。


エ:県庁しかり大きな規模の会社では社員一人一人にIDが与えられ、ポータルサイトへログインして業務連絡や集計事務などをマイページから行うことが当たり前になっているが、学校の児童生徒用のポータルシステムを構築し、教員が行っている事務作業を効率化することはできないか、伺う。


オ:県立特別支援学校において、教員の皆さんが通学バスの交通整理を行っているような話を耳にしているが、働き方改革を徹底してほしいとの声が聞こえてきており、対策について伺う。


(2) 精神的な不調により休職を余儀なくされる教員のメンタルヘルス対策の問題の深刻さは広く共有されていると思われるが、働き方改革推進課を設置して対策に乗り出しているところ、現状改善の兆しは見えてきているのか、あるいは何か課題となっているところがあるのか、伺う。


(3) GIGAスクールにおける学習アプリについては導入費用が家計負担となっているところ、公的負担での支援を求める声が上がっている。幾つかのアプリ事業者がある中で、各学校が個別にライセンス契約をするのではなく、本庁で取りまとめた上で一括導入を図り、コストダウンを図るなどの取組も考えられるところだが、当局の考えを伺う。


(4) 今後の部活動の在り方について


ア:部活動において子どもたちの安全・安心を確保する上で、指導者の資質、専門性がより一層求められているが、県としてどういった取組を行っているのか、伺う。


イ:離島の児童生徒もそうであるが、部活動の渡航費負担が大きな課題となっている。助成支援について様々な財源確保、スキーム構築を考えていただきたいが、県の考え方を伺う。


(5) 高速バス等を使って長距離通学をしている子どもたちにとっては、時間だけでなく交通費用も大きな負担となっている。学生バス賃の完全無償化は重要な課題であり、早急に手当てをすべきであると考えるが、改めて知事はどのようにこの問題を捉えているのか、伺う。


(6) 学校給食費の無償化について


ア:那覇市議会での代表質問において、那覇市教育委員会は、那覇市における小中学校の学校給食費は年額約15億3900万円、うち中学生の学校給食費は年額約5億4500万円と答弁している。また、併せて現在県が示しているスキームでは、県の補助額は約1億7066万円と試算しているとも答えている。これは全体の給食費のうち僅か11%であり、中学生だけ見ても31%に過ぎない。これが事実であれば、「県が半額」というのは間違った表現ではないか、事実関係について伺う。


イ:条例等で定められていない物価高騰対応費を除くという要件について、各市町村がこれまで保護者負担を増やさないように自助努力によって実施してきたものであり、間違いなくこれも「給食費」に含まれるものである。なぜ除外するのか、対象にすべきではないか、伺う。


ウ:就学援助対象者については、普通交付税の算定に含まれているため除外としているようだが、普通交付税の算定については、あくまで基準財政需要額の中で算定されているだけであり、基準財政収入額との差分が交付されるため、算定額がそのまま自治体に入ってくるわけではない。市町村の大きな負担となっていることを考えれば、これもまた当然に対象にすべきではないか、伺う。


エ:実質的に3割なのに半分補助としていることは詭弁である。県知事の公約にのっとって、市町村としっかり話し合い、除外規定を設けずに、少なくとも各市町村の給食費の半額相当を実質的に補助すべきであるが、知事の見解を伺う。


(7) 昨今、東京大学が授業料を10万円値上げする決定をしたことが報道され、他の国立大学もこれに追随するのではないか、という不安や懸念が生じつつある。このような動きの中で、県立高校授業料については、どのような考え方の下で金額が決定されているのか、また近い将来値上げに転ずる可能性はあるのかどうか、伺う。


(8) 新・沖縄21世紀ビジョン基本計画にもあるとおり、キャリア教育の重要性は言わずもがなであるが、昨今の人手不足の状況も踏まえ、教育と産業界との連携はどのように行われているのか、伺う。


(9) 学校施設等が指定避難所となっている場合において、その耐震性や自家発電設備等、避難所としての機能を当然担保しておかなければならないが、県内の学校においては十分に対策が取られているのか、その現況を伺う。


関連記事