ワシントン駐在に関する問題究明プロジェクトチームに関する記者会見
令和6年11月25日
沖縄県議会の3会派(沖縄自民党・無所属の会、公明党、維新の会)は共同で「ワシントン駐在に関する問題究明プロジェクトチーム」に関する記者会見を行いました。
写真左から(沖縄自民党・無所属の会の大浜一郎議員、花城大輔議員、維新の会の大田守議員)
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令和6年9月議会、我が会派の仲里全孝議員の一般質問に端を発したワシントン駐在のビザ取得の問題、これを我々は引き続く決算審査の中で、総務企画委員会、決算特別委員会での総括質疑を通じて、追及してまいりました。
特に総括質疑では、玉城知事がこのワシントン事務所株式会社が設立されていたという事実を知らされたのは、つい最近であったことが明らかとなりました。また、執行部からは「適法かどうかも含めて調査をして報告したい」という繰り返しの答弁がなされております。
我々としてはいつになったら報告がでてくるのだろうと待っておりましたが、11月定例会の開会を明日に控えて本日説明会があるようですけれども急すぎるなという感です。
この間、執行部から提出された資料を検討し、また会派として独自に調査を進めてまいりましたところ、ビザ申請の違法合法の問題のみならず、行政を監視する議会として看過できない事実が明らかとなってきました。
こうした経緯から今回沖縄自民党・無所属の会、公明党、維新の会の3会派共同で「ワシントン駐在に関する問題究明プロジェクトチーム」を設け、さらなる調査検討を行うこととしたわけでありますが、11月定例会においては、先の決算特別委員会で示した通り、3会派として一致して、令和5年度沖縄県一般会計決算は不認定、この意思表示を行いたいと思います。
また、待てど暮らせど報告のない執行部の対応は不誠実極まりないというほかありません。報道が先行する形で様々な疑惑に対する指摘がなされております。夕方に執行部が急遽議員向けの説明会を開催することとなっているようですが、どの程度の情報が開示されるのか、疑問しかありません。
明日の開会日の本会議において、地方自治法98条2項に基づきまして、監査委員に対し、ワシントン駐在に関る諸問題の監査を請求する動議を、3会派共同で提出致します。
多くの事実が8年間隠蔽されてきたわけであります。
もういい加減にこのワシントン駐在事業を継続することは止めるべきだ、そういう思いで一致結束して追及をしてまいりたい、このように考えております。
概要の説明
地方自治法98条2項に基づく監査請求に関する動議
監査を請求する事項として6項目を挙げております。
1:沖縄県DC事務所株式会社(以下「本件株式会社」という。)設立の適法性
2:ワシントン駐在に係る庁内意思決定に関する実態の解明
3:ワシントン駐在職員の身分の取扱い及びその適法性
4:ワシントン駐在(委託事業者を含む)に係る資金の流れに関する実態の解明
5:本件株式会社の経営状況報告を怠っていたことの適法性
6:本件株式会社への出資金に係る支出方法の適法性
ポイント解説
1:沖縄県DC事務所株式会社設立の適法性。
そもそも本件株式会社は、日本法、県条例規則及び内部規程等に基づき適法に設立がなされたものであるかどうかという、根本的なところであります。
2:ワシントン駐在に係る庁内意思決定に関する実態の解明
本件株式会社の定款には、県から本件株式会社の普通株式1,000株を取得したいとの申込みがあったと記載されているが、当該申込みに係る意思決定文書は残されているのかという点です。総務企画委員会では、本件株式会社設立について意思決定文書が確認できない、という重大な答弁がありました
3:ワシントン駐在職員の身分の取扱い及びその適法性
駐在発令がなされている職員は本件株式会社の社長又は副社長として勤務しているが、常勤職員の営利企業への従事に係る知事の許可手続きはなされていたのかどうか、この点は地方公務員法に違反しないかという点です。
新聞報道ではありますが、営利を目的とするという認識はないから手続きは不要だ、という県の認識ですが、株式を発行して配当可能な形態をとる法人である以上、営利企業であることは明々白々というのが一般的な理解であると思っております。
4:ワシントン駐在(委託事業者を含む)に係る資金の流れに関する実態の解明
米国司法長官から米国議会へのFARA報告書中に記載されている資金の流れについて、本件株式会社に在籍している社長及び副社長の給料の出所を含め、沖縄県、本件株式会社、ワシントン駐在員活動事業費の委託先であるワシントンコア社及び再委託先であるマーキュリー社の間において、これまでの県当局の説明と異なる表記がなされており、実態を解明してもらいたいと思っております。
このFARA報告書ですが、半年に1度、FARA登録団体から司法長官への報告が義務付けられておりまして、その概要を記したものとなっております。(米司法省のホームページから誰でもダウンロードして見ることができます)
このうち、「Supplemental Statement」(サプルメンタル・ステートメント、附属書類)という文書、この中で親会社である沖縄県から子会社である本件株式会社への送金記録、そして本件株式会社からの支払記録が記載されておりました。
当然、この子会社への送金というのは、沖縄県の決算上、全く存在していない記録です。沖縄県はワシントンコア社への委託料しか支出していないとこれまで説明をしてきているわけですので、もうこれだけでも資金の流れがおかしくなっているのではないかと思わざるを得ません。
5:本件株式会社の経営状況報告を怠っていたことの適法性
地方自治法に基づく出資等法人に係る経営状況報告は、地方公共団体が設立した外国法人にも適用されるものであり、株式会社に係る報告を怠っていたことは、同法違反ではないかという点です。
6:本件株式会社への出資金に係る支出方法の適法性
本件株式会社への出資金を業務委託会社への委託料から再委託して捻出していることは、歳出予算に係る議会の議決を免れようとする脱法的な支出ではないか、つまりは本来「投資及び出資金」として支出すべきところ、「委託料」に紛れ込まして支出をしているということ、その結果、毎年度の決算書において「出資による権利」として記載がされてこなかったことは違法ではないか、という点です。
いま挙げた点だけでも、もう言い逃れはできないのではないかと思います。
簡単に言いますと
米国に出された資料が正しいのであれば、国内法規にひっかかる。我々にこれまで行ってきた説明が正しいのであれば、米国に対して虚偽報告をしたことになる。
こういった、まさに二律背反の状況であるということです。
こうした状況を踏まえまして、本日「ワシントン駐在に関する問題究明プロジェクトチーム」の設立に至ったわけであります。
今後の活動といたしましては、明日から開会となります、令和6年11月議会及びそれ以降の議会における会派対応方針の企画立案、外国法、地方自治法・地方公務員法、刑事法等の有識者からのヒアリング、執行部への提出要求資料の検討・絞り込み、所属議員との論点整理の共有・提供といったことを考えております。
当然のことながら、代表質問・一般質問を通じて、この問題を追及していくことに変わりはありませんし、監査委員への監査請求も行います。その結果も速やかに報告を求めていきたいと思っております
ただし、これは今後のことですので会派での議論もしていかなければなりませんが、監査結果が出て終わりではありません。この監査結果を我々議会がどう受け止め、解釈し、行政監視能力を果たしていくか、その次のフェーズがあるわけです。
ですので、より強力な牽制、具体的には百条調査委員会を設けるであるとか、来年度当初予算でどのように取り扱っていくのか、こういった次のフェーズの議論が当然出てこなければならない、その第一歩として監査請求を行うんだと、その実務を担うメンバーが我々プロジェクトチームである、そのように理解をしていただければと思います。