議会活動報告

ワシントン駐在問題に係る違法状態の早期是正を求める警告決議

令和6年12月20日

沖縄県議会最終本会議(令和6年11月定例会)
会派沖縄自民党・無所属の会は、県のワシントン事務所の違法状態の早期是正を求める警告決議案(議員提出議案)を提出。賛成多数で可決されました。

本議案の提出者として大浜一郎議員が提案理由を説明。
本議案に対して賛成の立場として新垣淑豊議員が討論いたしました。


動画(提案理由・賛成討論)



提案理由原文


去る9月議会、そして今議会におけるワシントン駐在問題に関する一連の質問・質疑において、数多くの疑惑・疑義が発覚するとい うの状態となっている。

その中でも次に掲げる2点に関して、違法状態を早急に是正すべきであると警告する。

沖縄県DCオフィス株式会社の出資金の問題である。
執行部の答弁によれば、1000ドルの出資金を平成27年度予算の委託料から支出したとのことであるが、その結果として出資による権利として、公有財産登録を怠っていたことが明らかになった。

そもそも、委託料から出資金を捻出した結果、このような瑕疵が生じているわけであり、裏を返せば、予算を議決した議会としても「投資及び出資金 」として認識していたわけでなく、委託料として説明を受けて議決をしており、予算を提出した側も、議決した側も、いずれも出資を承認した認識は一切なかったというべきである。

地方自治法第96条第1項第6号によれば、「条例で定める場合を除くほか、財産を交換し、出資の目的とし、若しくは支払手段として使用し、又は適正な対価なくしてこれを譲渡し、若しくは貸し付けること。」とあり、出資に当たっては議会の議決を経る必要がある。

通常、出資を行う場合、予算の議決をもって承認されたものとみなされるわけだが、前記のとおり予算において出資の目的を双方が認識していなかったことを考えれば、改めて本号に基づき、議会の議決を得る必要があるわけであり、執行部に対し、追認の議案を提出するよう求める。

また、現在ワシントン駐在を発令されている2名の職員の身分に関して、執行部の答弁によれば、駐在職員は公務員と民間企業の役員の二つの身分を有しており、地方公務員法に基づく営利企業従事許可を欠いた違法状態にあることを明確に認めた。

しかしながら、一日のうちどの時間帯は会社役員としての業務に従事しているか、他の時間は公務員としての業務に従事しているか、こうした点を切り分けることができないとの答弁もあった。

どの時間帯が公務員で 、どの時間帯が会社役員かを明確に分別管理できない以上、いずれの身分に対して給料ないし報酬を支払うべきなのか、根拠が極めて曖昧となる。

こうした地方公務員の解釈が果たして許されるものなのかどうか 、法律を所管する総務省に確認をすることもなく、答弁を行っていることは由々しき事態であり、早急に対応を図る必要がある。

よって、沖縄県議会は沖縄県DCオフィス株式会社設立に当たっての出資金及び駐在職員に係る営利企業従事許可手続に関し、違法状態を早期に是正するよう警告する。

以上、決議する。


賛成討論原文


9月定例会閉会後の決算審査において、県が出資する100%子会社である沖縄県ワシントンDCオフィス株式会社が秘密裏に設立され、ワシントンへの駐在職員がその株式会社の役員を兼任していたという事実が明るみになりました。

平成27年度からワシントン駐在活動事業が開始され、これまで8年間、9年間にも、この事実がされていた。まずもって、このことは、執行部に対してを促さなければならない、このように思っております。

さて、先程提出者からの説明にもありましたとおり、決算審査、総括質疑、そして今議会における代表質問・一般質問、さらには総務企画委員会における所管事務調査、これらの質疑を通じて、問題・疑惑が次々と明るみになり、執行部も出される疑問点に、明確な回答をなしえない事態が多々見受けられました。

子会社設立の事実すら引き継がれず、ましてその会社の活動実態もつぶさに把握されていないこと、これこそまさにコンプライアンス、内部統制、こういったものの欠如に他ならないのであります。

本決議では、大きく2点の違法状態の早期是正を求めております。

第一に、株式会社設立に当たっての出資金が委託料として議会の議決を経ないまま支出をされていた点であります。

執行部は、委託料とは本質的に地方公共団体が支出すべきものを除き、様々な支出科目が包括的に規定されたものだという説明を繰り返してまいりました。

我々は出資というのは他人に代行させることはできない、本人に効果が帰属すべきものであるから、受任を受けた代理人以外なし得ない行為であり、総務省に見解を確認すべきだと主張してまいりました。

しかしながら、執行部は頑として主張を崩さないままであります。

百歩譲って、委託料から出資金が支出可能だという論理を認めるとしても、出資に係る権利として決算附属書類への記載も怠っているということは、平成27年度当時において出資金が委託料から支出されたこと自体の認識がなかったということのであって、予算を議決した議会においても、そして予算を編成し執行した執行部においても、財産を出資の目的とするとの認識がなかったわけであり、予算の成立をもって議会承認を得たことにはならず、地方自治法96条1項6号の議会の議決を得ていない、ある出資だと言わざるを得ないのであります。

その意味で執行部は速やかにをするための追認議案を提出する義務を負っていると考えております。

第二に、駐在職員の身分の問題、すなわち地方公務員法38条の2による営利企業従事許可を得ておらず違法状態の下で勤務が続けられているということです。

我々は、総務企画委員会の所管事務調査において、沖縄県職員服務規程7条1項に定める営利企業への従事等許可申請書を示しながら質疑を行いました。

すなわち、兼業を行うにあたっては、一日のうちこの時間帯は兼業しています、それ以外は公務員の仕事をしています、というように明確に区分けを行わなければならないことになっております。

そうしなければ、職員への給与支払いの根拠はもとより、公務員としての職務遂行に支障があるのかどうかという許可要件そのものの判断もつかないことになるからであります。

こうした点も含めて、法律を所管する総務省へ速やかに照会をしたうえで対応を検討するのは当然のことであります。

そのうえで本当に兼業許可を下すことができるのか、総務企画委員会の質疑に際しても申し上げましたが、県と会社の間に特別利害関係がないこと、職員としての職務遂行に支障がないこと、法の精神に反しないことという3つの要件をすべてクリアするのは難しいのではないかと我々は考えております。

今の今まで兼業許可が下りずに違法状態が継続しているのは、こうした背景もあるのではないか、このように思わざるを得ないのであります。

営利企業従事許可が出せないのであれば、ほかに何が取りうる手段なのか、しっかりと検討をしてもらいたいと思います。

仮に違法状態を解消するために取りうる手段がないのであれば、職員の駐在命令を取り消し、帰国を命じるべきであり、このワシントン事務所は即刻閉鎖すべきなのであります。

そして、まっさらな状態からワシントン事務所のあり方、知事の訴える地域外交のあり方を改めて議論すべきだということを申し上げておきます。


2024-12-20 | Posted in 議会活動報告, お知らせNo Comments » 

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