[ 百条委員会 ] ワシントン駐在問題の調査に関する動議
沖縄県議会最終本会議(令和6年11月定例会)
会派沖縄自民党・無所属の会は、県のワシントン駐在問題の調査に関する動議を提出。
賛成多数で可決されました。
本議案の提出者として仲里全孝議員が提案理由を説明。
本議案に対する質疑への答弁を座波一・西銘啓史郎両議員が行いました。
本議案に対して賛成の立場として宮里洋史議員が討論いたしました。
動画(提案理由・質疑応答・賛成討論)
提案理由原文
先程議員提出議案第1号「ワシントン駐在問題に係る違法状態の 早期是正を求める警告決議」が可決されました。本決議は、ワシン トン駐在問題について、沖縄県DCオフィス株式会社設立に当たっての出資金及び駐在職員に係る営利企業従事許可手続に関し、違法状態を早期に是正するよう、知事に警告を行うものであります。
我々沖縄県議会は、開会日当日に、令和5年度沖縄県一般会計決算を不認定とし、さらに監査請求に関する動議を提出し、可決致しました。
監査請求に関する動議では、本定例会開会前までに生じた6項目の疑義について監査を求めるものでありますが、残念ながら 、期限としていた本日時点では監査委員からの結果報告は出されておりません。
さらに、警告決議の提案理由説明及び賛成討論でも述べられたように、ワシントン駐在問題については本定例会中の議論を通じ、監査を求めた6項目以外にも、数多くの問題点・疑問点が浮かび上がってまいりました。
質問及び質疑を通じても関係者の答弁が食い違う、過去の答弁との整合性を問われ、訂正を繰り返すといった前代未聞の事態となっていることは、空転に空転を重ねる議事進行をみれば、議員の皆さまにも明らかであると思います。
来年度予算編成も大詰めとなる中、先ほどの警告決議でもありましたように、ワシントン駐在に係る予算を組む法的根拠が危ぶまれる事態となっていることは、執行部は猛省をしなければなりません 。
そして、我々議会もただ予算を承認することはあってはなりません。
我々沖縄自民党・無所属の会においても、相当この問題については議論に議論を重ねてまいりました。
監査結果を待つべきだ、執行部の報告を待つべきだ、様々な意見もありました。
しかし、一致したのは、やはりこの問題は一般の質問・質疑を通じては解明できない疑惑・問題のレベルに至ってしまっているということ、そしてこれらを明らかにするためには、議会の持つ執行機関に対する最も強い百条調査以外にない、このことなのであります。
そして今議会においてなぜ百条調査委員会の設置を議決する必要があるのか、それはまさに、来月大詰めを迎える予算編成にあたって、法的に更なる精査をしなければならない点が多くある中で、もはや閉会中審査のみでは対応できないからであります。
以下我々はその問題点を、次のように整理を致しました。
1. 地方自治法無視の株式会社設立
✔ 株式会社設立を決裁した文書が不存在
✔ 取得株式の公有財産を8年間未登録
✔ 出資法人の議会への経営状況報告を8年間怠る
✔ 国税庁の「ペーパーカンパニー」基準に該当する可能性
2. 違法の疑いのある就労ビザ取得
✔ 地方公務員身分を隠したL1ビザ(商用)不正取得
✔ 本来公務員ができない違法なロビィ活動の継続
✔ 米国司法省FARAへの虚偽報告
✔ ビザ免除プログラム(ESTA)では認められない知事訪米時のロビィ活動
3. 駐在職員の不適切な身分取扱い
✔ 地方公務員法による許可を得ず会社役員を違法に兼業
✔ 駐在職員への外国大使級の外国勤務手当の支払
✔ 米国での個人所得税の課税逃れの疑い
✔ 社長・副社長への報酬ゼロという偽装された勤務実態
4. 不透明な資金の流れ
✔ 決算書類を8年間一切作成していないという不正な事実
✔ 委託会社を迂回させるという不可解な資金スキーム
✔ 地方自治法に違反した「私人への支出の委託」
✔ 現地会計士に全て押し付けようとする無責任な県の姿勢
5. 虚偽公文書作成や文書偽造の疑い
✔ 委託契約書や完了実績報告書等への虚偽事実の記載疑惑
✔ 本業と兼業の区分けができない職員給与支払の違法性
✔ ビザ申請・FARA報告への虚偽記載の疑い
✔ 県に対する背任罪や詐欺罪の成否
これらの点について、確実な資料の提出、そして真実であることを担保する証言を得るためには、地方自治法100条により認められている調査権限を発動しなければならない。
したがいまして、今般動議の提出に踏み切ったのであります。
それでは、先程議決された警告決議は何の意味があるのか、そういった疑問をお持ちの方もいらっしゃるかと思います。
我々が警告決議で具体的に指摘したのは、執行部が違法状態にあることを認めた2点であります。
今定例会において明らかとなったこの二つの違法状態が、今日閉会日時点においても何ら是正改善されていない、いったいいつまで結論を長引かせるのか、特に違法状態で勤務している職員を早く救済する必要があるのではないか、この点を指摘しているのであって、何ら百条調査を妨げるものではありません。
また、監査請求などせず、はじめから百条調査をやればよかったのではないか、とのご意見もあるでしょう。
しかし、監査請求が議決された11月26日の開会日時点において、百条調査を求めるに足る段階にあったでしょうか。
我々も英文の資料を読み込んで疑問点を整理し、そして代表質問・一般質問を通じて初めて明らかとなった事実があったわけです。
そして、決算審査 が終了した段階で疑義が生じていた6項目について、1か月間の期間をおいて監査委員に調査を求めたわけであって、監査請求を求めたのちに生じた事項については、追加的に監査委員に監査を求めることになれば、さらに監査委員にも負担をかけることになり、当初要求した6項目に対する報告もさらに先延ばしになるおそれがある 。
そういった意味で、議会の側での調査を行うことが合理的であるということになるわけであります。
賛成討論原文
約9年前から始まったワシントン駐在員活動事業でありますが、我々沖縄自民党は、その設置当初より事業の効果や必要性について疑問を呈してまいりました。
米軍基地負担の軽減を求める県民の声を受け、様々な活動を行うことには一定の理解はできます。
しかしながら、その活動の大前提としては法令順守、法律に基づく行政が当然徹底されているだろう、県の事務事業は行政へのある意味で信頼の下に成り立っているということであります。
ワシントン駐在をめぐる今般の一連の問題はどうでしょう。
行政への信頼、それを根底から覆す、そのものに他ならないではありませんか。
私は12月13日、総務企画委員の一人として、ワシントン駐在に関する所管事務調査にみました。
午後1時20分から再開後、2度の休憩をはさんで終了したのは午後9時半でした。
質疑を行ったのは、私を含めて野党・中立会派の7名のみでありました。
知事を支える与党の皆さん、皆さんは一体この一連の問題をどこまで理解されているのでしょうか。
皆さんもこの株式会社スキームを知ったのは今年の9月だと、驚いたことだと思います。
そうであれば、皆さんの方こそ、この問題のを出し尽くすために、プロジェクトチームを作って、こうした方がよい、ああした方がよいと、知恵を出すべきではないかと考えます。
百条委員会が設置されたあかつきには、そのような与党委員の皆さまに、この問題の本質的な議論を是非とも行っていただきたい。
さて最後に、百条調査というのは議会に与えられた権能のうち、最も強い部類に入る権限であります。私たちも覚悟をもってこの動議を提出いたしました。
我々の願いはただ一つであります。
しっかりとこの問題の膿を出し切って、正しい沖縄県政を取り戻す、この一点である、与野党の立場を超えて、一緒に取り組んでいこうではありませんか。