[ 総括 ] 令和二年6月県議会を終えて
沖縄・自民党は、去る6月7日に投開票された「沖縄県議会議員選挙」で、改選前の14名から19名に議席を伸ばし、議会における最大会派として発言力は大きく増しています。
6月30日~7月28日まで、6月県議会が開かれ、議会の与野党勢力が拮抗した中、沖縄・自民党は、玉城知事の基地一辺倒の偏向県政運営を徹底的に追求しました。
そこで今回は、平成30年9月に誕生し2年目を迎えた「玉城知事」の県政運営を検証します。
玉城知事の2年間は、救いがたい発言の軽さや無責任な言動が目立ち、およそ沖縄県の知事として、その資質が疑われるなど、限界を露呈しています。
1:那覇軍港移設問題について
那覇軍港の浦添移設について、玉城知事は、翁長前知事同様、移設推進の姿勢を明確にしていますが、普天間飛行場の辺野古への代替施設建設については同じ埋立てによる移設でありながら、反対すると言う真逆な対応をしています。
辺野古への移設建設については、「海を埋め立てるから新基地」である、また「強襲揚陸艦の運用が前提の軍港建設」であり、基地の機能強化につながるから反対と言っていますが、浦添港湾内に移設する那覇軍港は埋め立てであり、また、浦添港湾内には、現在の那覇軍港にはない「強襲揚陸艦」が接岸できる機能が強化されると言われており、このことを玉城知事も承知しながら移設に賛成しています。
2:普天間飛行場の早期返還問題について
普天間飛行場の代替施設建設のための辺野古崎の埋め立てについて、玉城知事は阻止・反対を言い続けています。しかし、肝心な普天間飛行場の返還についての方策は、何ら示しておりません。
玉城知事は、辺野古の埋め立ては時間がかかるから、埋立てを断念し普天間飛行場を県外・国外に移設した方が早いと答弁しています。
一方で、普天間飛行場の代替案について具体的な考えは示さず、県外・国外移設については、「国会での議論だけでなく、国民的議論によって決定すべき」と、述べており、およそ何年たっても回答が出ない、無責任な考えを述べております。
3:大阪でのトークキャラバンでの基地引取り発言について
玉城知事は、沖縄の基地問題を全国に訴えるためのキャラバンを展開しています。
2019年9月8日の大阪でのトークキャラバンで、県外の米軍基地の引き取りを聞かれ、「沖縄県民も(県外に)引き取ってほしいと望んでいるわけではない」と、発言しています
負担過重な米軍基地の全国への応分な負担を訴えると言いながら、引き取りについて聞かれたら、反対のことを言うなど、全く矛盾した発言をしています。
4:自衛隊の離島防衛問題について
自衛隊の宮古島市及び石垣市への配備については、尖閣諸島周辺海域への中国公船の挑発的な領海侵入や地元漁船の安全操業の確保のため、国は、わが国の領海を守る観点から、宮古島市及び石垣市への配備を進めています。
これに対し玉城県政は、「住民合意もなく、地域に分断を持ち込む自衛隊強硬配備は認められない」と、賛成か反対かはっきりしない答弁を繰り返しています。
玉城知事は、自衛隊の存在そのものは認めると言っていますが、沖縄の離島防衛のための自衛隊の配備には、知事としての姿勢を明確に示しておりません。あいまいな答弁を繰り返し、逃げの姿勢に徹しています。
5:中国の一帯一路への参加発言について
2019年4月16~19日までの日本国際貿易促進協会の中国訪問団の一員として訪中した玉城知事は、中国の胡春華副首相に対し、「中国政府の提唱する広域経済圏構想「一帯一路」に日本の出入り口として沖縄を活用してほしい」と提案しております。
これに対し、中国の胡副首相は、「沖縄を活用することに賛同する」と応じたようであります。
中国の進める「一帯一路」構想には、巨額の融資による債務付の問題や中国の軍事的なリスクも懸念され、欧米や日本も警戒感を強めている中で、沖縄県知事が、沖縄を活用してほしいと安易に要望するなど、考えの浅さの露呈そのものであります。
中国は、尖閣諸島周辺海域への侵犯を繰り返しており、尖閣諸島は沖縄県の区域であり、尖閣諸島問題はそのまま沖縄県に直結する問題です。
6:尖閣諸島海域での中国公船パトロール問題について
2019年5月31日の記者会見で玉城知事は、尖閣諸島海域で八重山漁船が中国公船に追尾されたことについて、「中国公船がパトロールしているので、故意に刺激することは控えなければならない」と、驚くべき問題発言をしています。
尖閣諸島の管理権は中国にあると、沖縄県知事が認めたと誤ったメッセージを中国側に与えかねない、大きな問題発言です。
何故なら、中国公船がパトロールするには、その海域が領海であり管理権を有していることが前提です。
7:首里城焼失問題について
首里城焼失で県民が受けたショックは計り知れず、精神的な支柱が崩れ落ちた瞬間でありました。
そのため首里城の復興・再建は、県民的な願いであり、最重要課題であります。一方、首里城火災発生から、一連の玉城知事の行動・発言は、多くの県民から疑問が寄せられております。
出火原因の検証さえ入れない翌日には、早々に官邸を訪れ、菅官房長官に対し、早期再建への支援を要請し、2022年までに首里城の再建計画を策定すると明言、即ざに国は責任を持って再建することを表明、県の主体性は早々失われたのであります。
さらに、指摘を受けると首里城の所有権の県への移転を検討すると軽々しく発言するなど、玉城知事の下における県政運営のお粗末さが露呈したのであります。
県は、首里城の管理責任者であります。そうであればまっ先にやることは、火災の原因究明など検証に専念することであり、その検証の結果等をいち早く県民に対し説明し、県民の考えを集約することです。
その上で、国に対し、火災の原因や検証の結果等を説明し、その後に復興・復元、再建の要請や財政支援等を行うのが筋でした。
8:有料サイト「梨の木ピースアカデミー」の動画問題について
有料サイト「梨の木ピースアカデミー」の動画に玉城知事は「公務」として祝辞を述べています。
知事は、「梨の木ピースアカデミー」は、ソウルにある複数の市民団体と日本の市民団体による合同交流に基づく、市民講座を開講するものとしております。
しかし、同サイトには、疑惑が報じられた知事の会食問題の当事者である、徳森氏が金城リンダと言う名前でサイトのネット講座を開設しており、他にも反米・反日思想を持つ人物が関わっている政治的なサイトです。
懸念されるのは、玉城知事は、同サイトの広告塔として利用されている可能性があることです。
この問題を6月県議会で取り上げて玉城知事の姿勢を追及している中、同サイトの玉城知事の祝辞の場面は削除されるなど、不透明なサイトと言わざるを得ません。
9:玉城県政はSACO合意容認に方針転換か
去る2月定例会における知事の所信表明で「米軍基地の整理縮小」についての部分に注目する発言がありました。
その内容は、「米軍基地の整理縮小については、SACO合意の内容とは異なる現在の辺野古新基地建設を除き、既に日米両政府で合意されたSACO最終報告及び再編に基づく統合計画で示された基地の整理縮小の確実な実施を求める云々と、言うものであります。
そこで2月26日の本議会において、そのことを質問しましたが、池田前知事公室長は、「SACO最終報告書で、いわゆる撤去可能な海上へリポート案が示されたものと考えている。」「現在のいわゆるV字案は、SACO合意の内容と異なっている。
そういう意味で、SACO合意は着実に進めますけれども、SACO合意に記載されている内容と異なる辺野古新基地建設を除き、直実に進める必要がある」と言う内容の答弁をしております。
この知事の所信表明、公室長の答弁から、玉城県政は、辺野古新基地建設は反対するが、SACO合意、「いわゆる撤去可能な海上へリポート案」そのものについては着実に進める姿勢を表明しているのであります。
これに対し玉城知事らは、SACO合意の「撤去可能なヘリポート」は、消えたことから、SACO合意の実施を求めても矛盾しないと答弁しております。
沖縄県知事は、米軍基地問題だけでなく、離島県としての経済問題もあり、全国でも最も多忙な知事と言われている。
そのため、その言動は特に注目され、全国の耳目を集めることから、軽軽な行動は厳に慎まなければならない。
わずか2年間でこれだけの無責任発言や責任回避言動が多いと言うのは、歴代の知事と比べても問題であります。