[ 総括 ] 令和3年9月議会 を振り返る
新型コロナウイルス第5波は、本県を含め13都府県に緊急事態宣言が発せられ、9月30日まで緊急事態が延長されるなど、全国的な感染拡大で国民・県民の日常生活にも大きな影響が出ています。
特に第5波は、ウイルスがデルタ株に置き換わった事で、若者への感染が広がり、医療機関のひっ迫や多くの企業が休業・廃業に追い込まれ県経済は深刻な状況にあります。
更に本県は、「沖縄振興特別措置法」の延長・「新たな沖縄振興計画」の策定と言う重要な課題を抱えています。
未だ経済の自立が確立していない本県経済にとって、更なる10年間の振興計画は必要不可欠です。
このような厳しい状況の中、県政を担う玉城知事は、この現状をどのように認識し打開して行くか、今回の代表質問で考えを質しました。
1:沖縄振興策の推進について
沖縄が本土復帰してから今年で49年、来年には復帰50年を迎えます。
この間、国による沖縄振興計画の実施で県経済は大きく成長しました。しかし、県民所得は全国最下位、失業率は全国ワーストと、依然として解決すべき課題は山積しています。
このため、来年(2022年)3月末で切れる沖縄振興特別措置法の更なる10年延長と新たな沖縄振興計画の策定が今後の沖縄振興を図る上で必要不可欠です。
わが自民党県連は、県経済の自立に向け様々な制度存続や沖振法の10年延長、新たな振興計画策定の必要性を党本部自民党沖縄振興調査会や内閣府に対し強く求めてまいりました。
自民党沖縄振興調査会は、復帰50年を迎える沖縄の新たな振興計画の実現のためには、新たな沖縄振興が必要とし、「党提言」をまとめ菅首相と河野沖縄担当相に提出し、それを受け内閣府も、次期沖縄振興に関する基本方向を示し、2022年の通常国会に法案の提出に向け準備を進めるとし、沖縄の要望はほぼ認められる方向となりました
その一方で、沖振法の10年延長の期間は明示されてなく、国への要請行動をつづけなければなりません。
国は、復帰後から50年間にわたり沖縄振興を実施してきたことから、明らかに過去5度とは対応が異なり、これまでにない厳しい姿勢を示しておりました。
それにも関わらず、沖縄振興を議論する自民党沖縄振興調査会の議論の場に玉城知事の姿はほとんど見られず、県政の声を十分届けたとは思えません。
全ては辺野古移設問題をめぐる国との深刻な対立にあります。このため県経済の振興について話し合う場の設定さえ出来ない状況に陥っているのが、玉城県政の現状です。
また令和4年度沖縄振興予算について、県の要求額3600億円規模に対し、内閣府の概算要求は3000億円割れと大幅な減額となっています。
内閣府の県や市町村が最も重要視する一括交付金は、ソフト交付金、ハード交付金を合わせて981億円と県の要望額1915億と大きく差異がでています。この差額をどのように補填していくかが懸念されます。
さらに沖縄振興開発金融公庫の存続について、今後実現に向けどのように要請活動を展開するかが問われています。
2:新型コロナウイルス感染症対策について
新型コロナは、デルタ株に置き換わった事で、爆発的に感染が拡大しました。その影響はコロナ病床以外の一般患者の診療にも及び、まさに医療崩壊状態で命の選択が始まっていると、医療関係者から悲痛な悲鳴が聞こえたのであります。
これまで県のコロナ対策は飲食関係業への時短要請や酒類の提供自粛一辺倒でありました。
このため、あくまで要請であり強制ではない事から、要請に従わず店を開け深夜までの営業を続けるところも多く、要請に従う店からは長期化する飲食店等への休業・時短要請に対する疑問や不満が出ています。
また、これまでの飲食関係業への時短要請や酒類の提供自粛などが2年近くに及んだことで、企業努力だけでは限界に来ており、ホテル業界からは、雇用調整助成金だけでは会社や雇用は守れないと悲痛な声が高まっています。
さらなる問題は、感染者の増加でホテル等宿泊施設や自宅での療養者が増えていることに対する適切な対応が求められています。
玉城県政には、第6波を見据え安定的な病床を確保し医療従事者が安心し得る体制の整備と観光業や飲食業など、支援対策をどのように取り組むかが問われています。
3:普天間飛行場の早期返還問題について
辺野古移設問題に関し、県は国と翁長前知事時からこれまで9件の裁判闘争を繰り返しており、その中で県が勝訴した裁判は一件もなく、和解による取り下げを除けばすべて国が勝訴しています。
県は、国との裁判でこれまで膨大な裁判費用を使い続けながら一件も勝訴したことはなく、しかも県の主張は悉く退けられると言う、まさに悲惨な状況にありますが、それでも裁判闘争を続ける考えのようです。
玉城知事は、県議会での答弁では裁判の結果には従うと言明していますが、この3年間の行動を見れば言動不一致で真逆であり、裁判結果に従う考えは毛頭ないようです。
そのことは、本県にとって最も重要である沖縄振興策等の要請の真最中で、しかもコロナ禍と言う微妙な時期に、50%程度の米軍基地の削減要求や一旦許可したサンゴ移植の撤回など、同時に同じタイミングで国にぶつけるなど、国に対する無神経な対応から明らかです。
知事は、国に対し米軍基地削減を求めるに際し、「万国津梁会議の提言」を根拠とし、提言の内容に自信を示しておりますが、しかし、今度は、「米軍基地問題に関するアドバイザリーボード会議」を新たに設置し、有識者の専門的な知見を基地問題に生かすとしております。
万国津梁会議の提言内容を「すべてできること」と断言し、国に対し要求しながら、更に新たな米軍基地問題に係る会議を設置することは理解不能であり、玉城知事の基地一辺倒の政治姿勢が見られ、県経済の将来が危ぶまれます。
来る10月には、菅政権に代わり新たな政権が誕生します。その際、判断を迫られている辺野古移設に係る「軟弱地盤の設計変更申請」について、知事の判断が今後の国との関係を大きく左右することは明白であります。