[ 総括 ] 令和3年2月議会 代表質問を終えて
沖縄県議会令和3年2月定例会は2月16日に開会し、会期は3月30日まで43日間です。
代表質問は、2月24日から26日までの3日間行われ、沖縄・自民党は、3人が代表質問に立ち、就任3年目に入った玉城知事の政治姿勢を追求しました。
現在の沖縄県の状況は、新型コロナ感染症の影響で観光関連業を始めとする企業の経営は悪化し、倒産や休廃業が相次ぐ事態となっており、雇止めや解雇など職を失う人も増え、県内外からの観光客は激減し国際通りや地域の商店街でも多くの店がシャッターを閉じ先が見えない状況にあります。
今、玉城知事に求められているのは、苦境にあえぐ観光業など多くの企業に対する支援等の取組みを急ぐことであります。
しかし、コロナ感染拡大防止への対応に追われている中、同時に経済を回復させるのは容易ではなく、県独自の取組みでは限界があります。
このため、国の支援が必要ですが、国との信頼関係が失われている玉城知事に多くは期待できないのが現状です。
1:新型コロナ禍における県経済の回復等について
辺野古移設問題で国と対立を続ける玉城県政も就任3年目に入り、任期は残り1年となり、来年には県知事選挙が行われます。それを受け知事自身や支持周辺の動きにも変化が見られます。
(1)新型コロナ感染症の影響で疲弊した県内の観光業を始めとする多くの企業への支援対策の早期実施による県経済や雇用の回復。
(2)来年3月末で切れる沖縄振興特措法の延長と新たな10年間の振興計画の策定に向け、国との協議・調整。
本来玉城知事には、140万余県民の生活安定を図るため、この重要課題に専念してほしいところですが、オール沖縄と言う政治優先県政のため、先行きは不透明です。
現在県は、県内各種経済団体から新型コロナ感染症の影響で疲弊した企業の支援を要請されており、その財源の確保から、国に対しても特別な支援を求めざるを得ない状況にあります。
同時に、沖縄振興特措法の延長と新たな振興計画の継続を国に要請し、現在県の素案を提示し協議・調整を行っている所であります。
このことから、今年は、来るべき沖縄県の将来を決する重要な年であり、県においては、如何に国の理解を得て、10年後の沖縄の姿を示せるかの節目となる年であります。
しかし、玉城知事は、あえてこのタイミングで辺野古移設問題を持ち出し、国を困惑させております。
国は、辺野古移設に係るサンゴ類を移植するための特別採捕許可申請を県に提出していましたが、玉城知事は、新たな振興計画の継続に向け、県の素案を国に提示し、まさに協議・調整を行っている最中である、この時期(1月22日づけ)で許可願いを「不許可」にしております。
しかもこの同様な許可申請は、翁長前知事は、法令に基づき適正に申請されているとして、「許可」しており、玉城知事も、同様で適正な申請である以上、不許可にする理由はないはずであります。
しかし玉城知事は、あえて法令に基づく行政判断を捨て、政治的判断で不許可にしました。
このことは、玉城知事にとって、辺野古移設問題が最重要であり、新型コロナ感染症による支援要請や新たな振興計画の継続は二の次であることを示しております。
2:副知事交代人事問題について
また、この2月定例会に「副知事交代の人事案」が提出されていますが、これも問題であります。
県政運営において、副知事を始め人事の刷新・交代は必要であり、通常の人事案であれば問題はありませんが、今回の人事案は到底容認できるものではありません。
今回、退任させる副知事は、新たな振興計画策定に向け、これまでの沖縄振興計画等の総括・中間報告や骨子案策定の全てを指揮し、国との調整の総責任者です。
この副知事を退任させ、その後任に県の現政策参与で県の経済計画や県予算確保に全く関与していない者を、後任副知事に起用するというのは理解不能です。
現在県は、新たな沖縄振興計画の策定の真最中にあるだけでなく、新型コロナ感染症で疲弊した県経済の立て直しなど、重要な時期にあります。この時期にこのような人事を行うのは適切とは思えず、中間報告や骨子案を受けた国が困惑しているのは明らかです。
地元新聞の報道でも、今回の副知事交代はオール沖縄の立て直しの政治的人事と報じております。
玉城知事にとって、県経済問題より、来年の知事選挙に向けての体制づくりが重要と考えているのであれば大問題です。
3:中国の尖閣諸島領有権侵害問題について
更に、本県にとって、看過出来ない重い問題が迫っています。
尖閣諸島の周辺海域において、中国公船の領海侵入は日常化し、本県漁船への執拗な追尾が繰り返されるなど、操業の安全が脅されております。
中国の圧力・脅威は留まることはなく、今度は、尖閣諸島を念頭に「海警法」を成立させ、中国海警局に武器使用と言う強い権限を認めております。
「海警法」は、中国の主権や管理権を侵害する外国の組織、個人に対し、中国海警局は武器の使用を認めると言うものであります。
しかし尖閣諸島は、歴史的にも国際法上もわが国固有の領土であります。
わが国固有の領土である尖閣諸島の海域で、中国が「海警法」に基づき、わが国の漁船に武力を行使すると言うことは、まさしく、わが国の主権を武力で侵害するに等しく看過できるものではありません。
これまで、玉城知事は、中国公船の領海侵入問題に対し、国に要請することで済ませておりましたが、仮に、中国公船が海警法を根拠に実力行使に出るようなことがあれば、最早、この程度の対応では済まされないのであります。
今後、沖縄県知事として、中国に対し覚悟を決めた対応が必要になるものと考えます。
このように玉城知事にとって、来年の知事選を見据えた県政運営に閉じこもっている場合ではないと考えます。