議会活動報告(13期)

[ 総括 ] 令和3年6月議会 を振り返る

2年近くに及ぶ新型コロナウイルス感染症の影響で本県の医療機関はひっ迫し、医療関係者は疲労の限界に達し、観光業や飲食業等は休業・廃業に追い込まれるなど、県経済そのものが深刻な状況に陥っております。


このようなコロナ禍の中で、来年3月末で切れる「沖縄振興特別措置法」の延長及び「新たな沖縄振興計画」の策定に向けた取り組みが同時に進められています。


沖縄振興は、復帰後から50年間、半世紀にわたり実施されてきており、更に、10年間の振興計画を求めることについては、その必要性など相当な理論武装と政府との綿密な調整・協議、信頼の構築が必要であります。


しかも、コロナ感染症が収束する兆しが見通せない中、国の財政ひっ迫、各省庁のコロナ対応での業務多忙など、これまでにもまして慎重な対応が求められます。


玉城知事は、このような微妙な情勢にあって、本県の現状を如何に打開するか、将来の県経済をどのように描き政府の協力・支援を得て行くか等、代表質問を通し、考えを質しました。

その中から
次の4項目の問題点について説明します。

1:知事の県政運営について

沖縄の振興のため国による、振興計画が復帰後からこれまで5次・50年に亘って実施されてきました。

沖縄振興は沖縄振興特別措置法を根本法として、10年単位で認められてきており、現在の第5次の振興計画である「21世紀ビジョン基本計画」は、2012年度(平成24年度)からスタートし、来年2022年(令和4年)3月末で期限が切れます。

これまで5回の延長で実に50年間も振興策が認められ、実施されてきたのですが、県は、更に10年間の新たな振興計画が必要として、「計画素案」を国に提出し調整を進めています。


しかし、コロナ感染症の影響で、全国的に財政負担が増し、国においても財政ひっ迫の状態にあります。


このような中で、これまで50年、半世紀に及ぶ支援策など優遇策が実施されてきており、更にもう10年間の振興策を認めてもらうのは容易ではありません。


現在国においては、沖縄振興特別措置法の延長及び次期振興計画の策定について、検討が進められておりますが、いまだに国としての方向性が示されず、かってない厳しい状況となっております。


来年3月末で期限が切れることから、今年いっぱいが勝負の年であり、大事な時期でありますが、玉城知事は、相も変わらず無神経な言動を繰り返しております。

知事は、国に対し、米軍基地の50%以下の返還要請を去る5月27日付で行っております。

基地の整理縮小を求めるのは、当然であり何等問題はありませんが、何故、この時期でなければならないのか、国に対し、沖縄振興特別措置法の延長、新たな振興計画の策定を求め、更に、コロナ感染症で疲弊した県経済の支援要請など、様々な支援を国に要請しているこの時期に、何故わざわざ国を逆なでするような行動に出るのか、不可解であります。

 知事の不可解な言動は那覇軍港の浦添移設問題でも見られます。

 那覇軍港の浦添ふ頭移設場所について、国を含め県、那覇市及び浦添市による4者協議の「移設協議会」がようやく開かれ、代替施設を民港の北側に配置する方針が確認されました。


 国、県、那覇市及び浦添市の4者が合意したことで那覇軍港問題が決着したと思ったら、唐突に知事は、軍港施設面積の縮小を国に求めております。


しかし、那覇市及び浦添市から那覇軍港施設面積の縮小について3者合意はしていないと言われ、後になって、そのような合意はしていないと認める始末であります。


那覇軍港の浦添ふ頭移設については、知事を支持する県政与党の間には反対も強く、また辺野古移移設には反対しながら、同じ埋立てである那覇軍港移設は容認するなど、政治姿勢に一貫性がなく、県政運営に期待が持てない状況にあります。


普天間飛行場等の返還問題について


普天間飛行場の全面返還を含む県内11施設、約5千haの返還、9千名の海兵隊のグアムへの移転などを、日米両政府が合意したSACO最終報告が示されてから25年が経過しながら、実現したのは平成28年12月に返還された北部訓練場の過半のみです。


 SACO合意の本筋は、普天間飛行場、那覇軍港や牧港補給地区など、大規模な基地の返還により、跡地の利活用による県経済の発展で自立型経済の構築を図ることにあります。


 しかしながら、現実は、翁長前知事及び玉城知事の頑なな国との対決姿勢により返還が見通せない状況に陥っております。


 しかし、現在国は、辺野古での埋めたて工事を進めています。本来、埋立て工事は県の承認がなければ出来ない筈ですが。何故、国は工事が進められるのか、その理由は、すでに県が埋め立ての承認をしているからです。


 普天間飛行場の移設先である辺野古での埋め立てについて、平成25(2013)年12月27日、当時の仲井眞知事が埋め立て承認申請を承認したのを受けて、国は、埋め立て工事を開始しました。


 その後、辺野古移設阻止を掲げ当選した、翁長前知事や玉城知事は、前知事の承認した埋め立てを認めないとし、「取り消し」や「撤回」を表明したことで裁判での争いとなりました。


 この「取り消し」や「撤回」は、県の承認した埋め立てを取消す、また、撤回すると言うもので、それぞれ裁判で争われ、最高裁判所の判断が示され、いずれも県の敗訴となっています。


一度目は、平成28年(2016年)12月20日、最高裁判所は、翁長知事が行った埋め立て承認の取り消しは、違法との判決を下し県が敗訴。

二度目は、令和2年3月26日、最高裁判所は、県の「埋め立て承認の撤回」の上告を棄却し県の敗訴が決定。


 このように、最高裁判所は、平成25(2013)年12月27日の埋め立て承認に何等違法性はないとし、知事が変わったからと言って、取り消しや撤回することは出来ないと、明確な判断を示しております。


県議会での答弁で、玉城知事は、最高裁判所の判断に従うと明確に述べておりますが、現実の対応は、これまで許可していたサンゴの特別採捕について別の許可申請は不許可とし、設計変更承認申請については、審査の引き延ばしを図るなど、裁判所の判断に従う考えはないようであります。


この状況の中、知事は、唐突に米軍基地の50%以下の返還を国に求めております。

 普天間飛行場の全面返還を含む県内11施設、約5千haの返還問題に対し、辺野古移設に反対することで、事実上早期の返還を不可能にしながら、更に基地の50%以下の返還を求めると言うのは理解不能であります。


このように普天間飛行場の返還問題は、知事の政治姿勢の二面性が表れていると考えます。


沖縄振興策の推進について


令和4年(2022年)3月末で切れる沖縄振興特別措置法の延長・継続に向け、様々な形で国や政権与党自民党への要請が行われております。


県がまとめた、中間報告や最終的な素案(新たな振興計画素案)について、国において検証が行われておりますが、いまだに国としての考えが示されてはおりません。


 来年3月末の特措法の期限まで、8カ月余と言うこの時期においても、国から安心し得る話が聞こえて来ないと言うのは、これまで、5次の計画策定で一度もないことであります。


内閣府で河野太郎沖縄担当相は、新たな沖縄振興特別措置法の制定など、3項目を要請した知事に対し、明確な姿勢は示さず、更に、政権与党の自民党沖縄振興調査会(小渕優子会長)においても、今後10年間の沖縄振興を説明できるビジョンを示すことが求められるなど、厳しい対応となっております。

 しかし、復帰後50年、半世紀に及ぶ振興計画が実施されてきたとは言え、県経済の自立はいまだ道半ばであり、沖縄振興策を終えると言う選択肢はありません。

 わが自民党県連は、今回の沖縄振興特別措置法の延長について国の姿勢がこれまでと違い厳しい姿勢で臨むとの情報を得て、4月14日、自民党沖縄振興調査会で、沖縄振興特別措置法の延長など、4項目の延長や存続を求めました。


沖縄振興については、県民全般に関わる重要な課題であり、わが県連としてもしかり後押し、実現に向け取組みを全力で進めます。


新型コロナウイルス感染症対策について


昨年から猛威を振っている新型コロナウイルス感染症は、今年に入っても衰えを見せず、更に感染拡大が続く中で従来型ウイルスから、感染の主流が変異株に置き換わり、感染率の高まりで若者への感染の割合が増えております。


10都道府県に発出していた4度目の緊急事態宣言は、去る6月20日に沖縄県を除き解除され、本県は、7月11日まで緊急事態宣言が続きます。


本県の感染者数の増加は全国でも最悪の状態にあり、病床は満杯状態となり、医療体制のひっ迫、一般患者の診療に重大な支障をきたすなど、危機的状況にあります。


2年近く猛威を振るう中で、コロナウイルスがこれまでの従来型から、感染力が強く、重症化し易いと言われる、イギリス型変異株[N501Y]に置き換わり、更には、インドで確認されより感染力の強い、デルタ株の本県への持ち込みが懸念されております。


このため、急がれるのは、ワクチン接種を加速させることであり、感染防止への最大の対策はワクチンの早期の接種であり、医療崩壊の危機、医療従事者の負担の解消を図る上で、ワクチンの接種の拡大を急ぐ必要があります。


また、本県は、観光が県経済を担っており、県内外からの観光客が止まれば景気の停滞は避けられず、旅行業やホテルなど観光関連企業にとって死活問題であります。


このような状況の中、コロナ感染症の一時も早い収束に向け、様々な取り組みが求められておりますが、知事の対応には緊迫感がありません。


本県におけるコロナ感染症対策を話し合う「県の専門家会議」は、6月21日現在、21回開かれているが、この会議に知事が出席したのは、昨年5月の第7回会議の一度のみで、しかも冒頭のあいさつだけで議事に入る前に退席したと言うことであります。


コロナで県全体が大変なことになっている時に、感染者が増大し病症が満杯で医療崩壊の危機にある時に、また、観光業や飲食業など、深刻な状況に陥っている時に、実際の医療現場の生の声を聴く聞くこともしない、これで緊張感のある対応が出来る訳がないと考えます。


実際に現場の医師や関係者からコロナの実態や状況を直接聴くことと、後で担当部から報告を受けるのとは、大きな違いがあります。


知事が緊急事態宣言の時期を誤り、感染拡大を招いたことも、専門家会議で直に専門家の生の声を聴いていないことも一つの要因ではないかと考えます。


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