北海道視察報告 小渡 良太郎
北海道視察報告
小渡 良太郎
今回の視察では「北方領土関連」「世界自然遺産知床関連」「北海道の観光政策と最新鋭の施設整備状況」「広大さ故の僻地過疎地対策と移住定住促進の取り組み」です。
初日〜2日目にかけて、北方領土について。
以前から尖閣有事を懸念する声が無視出来ない昨今の沖縄においては、昨今のウクライナ情勢だけでなく「ロシアの軍事力による現状変更と実効支配」の顕著な例である北方領土問題から学ぶことはとても多い。
初日に納沙布岬の北方館から見た歯舞諸島や翌日羅臼の展望台から見た国後島は北海道本土から本の目と鼻の先であり、沖縄本島から見た慶良間諸島よりも近い位置にあった。
当時の日露間の国際条約に違反して、ポツダム宣言受諾後の混乱期に侵略され、今日に至るまで実効支配され続ける北方領土。
「実効支配」されているが故に、漁業を営むにも外交交渉の後に入漁料を支払わなければならず、それでも時折ロシア側の臨検を受けて漁船が拿捕されたりする。
北方領土の返還とは別に、尖閣を抱える沖縄は北方領土のことを決して他人事としてはならないと感じました。
中盤の3日目は世界自然遺産の活用と環境保全の取り組みを知るため、知床へ。
世界自然遺産に登録されるエリアは日本国内に5ヶ所(屋久島、白神山地、知床、小笠原諸島、奄美・徳之島・やんばるおよび西表)ありますが、アクセスのしやすさや従来の保全形態等を鑑みると、やんばるや西表の活用と環境保全両立のためには知床から学ぶことが多いと考えています。
我らが保全すべき豊かな動植物等うち昆虫だけは寒冷地のため事例を聞くことはできませんでしたが、環境保全と観光活用の両立についてはとても参考になるものが多い視察でした。
後半戦の4日目は札幌に移って、北海道全体の事業や得意な取り組みについての勉強。
国内有数の観光地として名高い沖縄と北海道ですが、正直観光政策は北海道の方が一歩も二歩も進んでいる印象でした。
「量から質への転換」がコロナ禍前の沖縄における主要な政策テーマでしたが、北海道は既に「質の向上」に邁進していて、またエリア毎の魅力の書き出しも主だった部分は完了している模様。
午後に訪れた北海道遺産協議会の取り組みと併せて、離島や空港から遠いエリアの魅力PRが急務だと感じました。
また過疎地僻地対策と移住定住促進についても、国のワーケーション推進に乗っかって進めていて、特に北見と十勝の事例はとても参考になりました。
午後に訪れたエスコンフィールド北海道は、昨今の報道では本拠地移転後の苦戦が取り沙汰されていますが、「シートの売り上げだけに頼らない様々な取り組み」を目にすることが出来、今後のスポーツ施設整備のあり方を考える上でとても参考になりました。
今回の視察研修は移動の都合もあって5日間と些か長めの日程でしたが、いざスタートしてみればあっという間に過ぎ去った印象で、しかし持ち帰った資料の整理には1週間以上かかるという、とてもボリューム感のある行程でした。
持ち帰った知見は、県への提案だけでなく民間の方々との意見交換にも積極的に活用出来るものであり、今後前面に押し立てて取り組んでいこうと思います。