[ 反対討論 ] 沖縄県知事の給与の特例に関する条例について / 徳田将仁

令和8年7月13日(月)
令和8年第2回沖縄県議会6月定例会(最終日)
乙第35号議案「沖縄県知事の給与の特例に関する条例」に対する反対討論を会派を代表して徳田将仁議員が登壇いたしました。
以下全文
沖縄自民党・無所属の会、徳田将仁です。
私は、会派を代表し、ただいま議題となっております乙第35号議案「沖縄県知事の給与の特例に関する条例」について、断固反対の立場から討論を行います。
まず申し上げます。私たちが本条例に反対するのは、知事の責任が軽いと考えるからではありません。むしろ、その責任は極めて重大であり、このような給与減額だけで責任を果たしたとすることは到底認められないからであります。
本議案の提案理由では、「ワシントン駐在に関する不適正な事務処理に鑑み、県民の信頼回復に努め、透明性を確保した行政運営を推進するため」としています。しかし、知事の給与を一か月減額することが、なぜ行政の透明性の確保や県民の信頼回復につながるのか、その理屈は全く理解できません。
今回の問題は、一部署の事務処理ミスではありません。県が長年にわたり、法令や内部規程との整合性を欠いたまま事業を継続し、意思決定、契約事務、公金支出、文書管理、さらには議会への説明責任に至るまで、多くの課題を抱え続けてきた県政運営そのものの問題であります。
しかも、玉城県政の下で幾度も是正する機会が存在したにも関わらず、抜本的改善は図られませんでした。本件は、知事を含む組織全体に内在する問題の氷山の一角であり、我が会派の追及によって初めて明るみに出ました。
このような組織風土は、隠蔽体質と批判されても仕方ありません。その責任は、県政の最高責任者である知事にあります。
その後、県議会は百条委員会を設置し、多くの証人や参考人から証言を得るとともに関係資料を精査し、責任の所在が曖昧な意思決定、内部統制や文書管理の不備、組織のチェック機能の欠如など、県行政が抱える構造的な問題を明らかにしてまいりました。
しかし、その調査の過程においても、真相解明のために極めて重要な資料が黒塗りの状態で提出されるなど、県民や議会に対して説明責任を果たそうとする姿勢は最後まで十分に示されませんでした。
事実を明らかにし、反省すべき点を真摯に認め、組織として改善していこうという姿勢が感じられなかったことは、大変遺憾であります。
その調査結果をまとめた報告書が仮に全会一致で議決されれば、大きな意義があったと考えております。県民が失ったものは、税金だけではありません。行政への信頼であります。
行政は誰よりも法令を遵守しなければならない立場です。
その行政が長年にわたり適正さを欠いた運営を続けてきた以上、その政治責任は極めて重いと言わざるを得ません。
だからこそ今回問われているのは、給与ではなく政治責任そのものであります。
政治責任とは、給与を減額することではありません。
原因を徹底的に究明し、組織の問題を認め、制度を改め、再発防止策を講じ、県民に誠実に説明することによって初めて果たされるものであります。
今回、この問題を受けて池田副知事は自ら辞任という決断をされました。
私は、副知事が辞任したからといって、それだけで責任が果たされたとは考えておりません。
しかし、自らの進退をもって責任を示そうとした姿勢は、一つの政治的判断であったと受け止めております。一方で、県政の最高責任者である知事は、約243万円の期末・勤勉手当を受け取り、任期満了時には約2,952万円の退職手当も支給される立場にあります。
その上で今回示された責任の取り方が、わずか一か月、四十五パーセント。
55万円の給与減額だけで、本当に県民は納得できるのでしょうか。
なぜ一か月なのか。なぜ四十五パーセントなのか。
その根拠も十分示されておらず、制度改革や組織改革も盛り込まれておりません。
給与だけを減額しても、行政の仕組みが変わらなければ、同じ問題は繰り返されます。
県民が求めているのは、給与を減らす姿ではなく、県政を立て直す具体的な改革であります。
さらに、この条例が可決されれば、「知事は責任を取った」「この問題は終わった」という誤ったメッセージを与えかねません。
しかし、百条委員会で明らかになった課題はなお多く残されており、県民への説明も十分ではありません。
私たち議会の役割は、行政を追認することではなく、県民の立場から行政を監視し、その責任を問い続けることであります。
知事の政治責任は、この条例一つで完結するものではありません。
県政への信頼を取り戻すためには、徹底した検証、説明責任、組織改革、内部統制の強化、そして再発防止策を着実に実行することが必要であります。
それなくして給与だけを減額することは、責任の本質を矮小化するものと言わざるを得ません。
私たちは、知事の責任が重いからこそ、この条例では到底足りないと申し上げているのであります。
約10年にわたり続いた不適正な行政運営。
その結果、失われた県民の信頼は、わずか一か月、55万円の給与減額で取り戻せるほど軽いものではありません。
県民はこの様な形式的な責任の取り方を求めているのではありません。
真実を明らかにし、誠実に説明し、二度と同じ過ちを繰り返さないという強い覚悟と行動を求めているのであります。
その覚悟が示されない限り、私たちは県民の代表として、このような責任の取り方を到底容認する事は出来ません。以上、乙第35号議案に対する反対討論といたします。


























