宮里洋史

[ 賛成討論 ] 玉城康裕沖縄県知事に対する問責決議について / 宮里洋史

令和8年7月13日(月)
令和8年第2回沖縄県議会6月定例会(最終日)

議員提出議案第3号「玉城康裕沖縄県知事に対する問責決議」について賛成の立場から会派を代表して宮里洋史議員が登壇いたしました。本議案は賛成多数で可決されました。


以下全文

沖縄自民党・無所属の会、宮里洋史です。

私は、会派を代表し、ただいま議題となっております議員提出議案第3号「玉城康裕沖縄県知事に対する問責決議」について、賛成の立場から討論を行います。

まず申し上げたいのは、この問責決議は知事の政治姿勢全般を論ずるものではありません。また、県政八年間の全てを評価するものでもありません。今回私たちが問うているのは、ワシントン駐在問題に対する知事の政治的・道義的責任、その一点です。

この問題については、監査委員、県の調査検証委員会、そして県議会百条委員会の3つの調査が行われました。百条委員会では、与野党を超えて長期間調査を行い、最終的には全会一致で報告書をまとめることができました。

これは政争ではありません。

事実を一つひとつ積み重ね、県議会として何が起きたのかを真摯に調査してきた結果、与野党が全会一致で報告書を取りまとめるという結論にたどり着きました。私は、この「全会一致」という事実が何より重いと思っています。

しかし、その調査で見えてきたのは、一つの契約ミスや、一枚の書類の問題ではありませんでした。法人の設立、契約、予算執行、文書管理、意思決定。

行政のあらゆる場面でチェック機能が働かず、問題を止められなかった。

そこに、この問題の本質があります。

県の調査検証委員会も、設立手続には重大な問題があり、その後の運営も違法となる可能性を否定できないと指摘しています。

さらに、調査検証委員会は、極めて重要なことを述べています。

それは、「法治国家の原則として、自治体において行政手続が適法に行われていることを、自治体が一般市民に対して証明する責任がある。」という指摘であります。

私は、この一文こそ、本件の核心であると思います。

では県は、その責任を果たせたのでしょうか。

私は残念ながら、そうは思えません。

報告書の最後には、

「もっと情報共有しましょう。」

「もっと法令を確認しましょう。」

「もっと文書を保存しましょう。」

こうした内容が並んでいました。

もちろん大切です。

でも、本当に今回の問題は、それだけだったのでしょうか。

私は違うと思います。

コミュニケーション不足で起きた問題ではありません。

一人の担当者のミスでもありません。

組織として止められなかったことが問題なんです。だからこそ、この問題はここまで大きくなったのです。であるならば、本来示されるべき再発防止策は、「職員が気を付けましょう」という話ではありません。

必要なのは、

法務チェックをどう変えるのか。

契約審査をどう見直すのか。

知事や副知事への報告体制をどうするのか。

海外案件についてどのような法的チェックを行うのか。

こうした制度そのものを見直すことです。

しかし、その具体策は最後まで示されませんでした。

また、私は知事の説明についても、大きな疑問を抱いております。

知事は「知らなかった」と説明されています。

しかし、客観的な事実は、その説明と整合しているのでしょうか。

マーキュリー社とのMOUには玉城知事名で署名されてます。。

また、米国移民局へ提出された組織図では、沖縄県が親会社、DCオフィス社がその子会社として位置付けられ、親会社の代表者として玉城康裕知事の氏名が記載されております。しかも、この資料は令和3年にも新たに作成されております。

「知らなかった」という説明は、難しいと思います。

知事に求められていたのは、「知らなかった」という説明ではありません。

行政のトップとして、自分がどこまで関わり、何に責任を持つのかを県民に説明することだったはずです。

そして私が最も心配しているのは、

「目的が正しければ、多少手続に問題があっても許される。」

そんな行政文化が県庁の中になかったかということです。

基地問題だから。その政策目的が掲げられれば、行政手続の適法性や透明性は後回しでもよい。多少の手続の問題は仕方ない。そのような空気が、県庁の中になかったと言い切れるでしょうか。私は、このワシントン駐在問題は、そのような行政文化の象徴であったと受け止めざるを得ません。そして法治国家において、そのような考え方は決して許されません。

さらに、百条委員会では、新たに、極めて重大な事実も確認されました。

一つは、本来契約を締結する権限を持たない者が、米国法律事務所との契約手続に関与していた疑いがあることです。行政において契約権限は極めて重要です。権限のない者が契約に関与していたとすれば、行政の根幹に関わる問題であり、決して看過できるものではありません。

もう一つは、委託事業者と米国法律事務所との間には再委託契約の実態が確認できないにもかかわらず、県は再委託承認通知書を作成し、それを根拠として手続を進めていたという事実です。

再委託の実態がないのであれば、その承認通知書は何を根拠に作成されたのか。その経緯についても、十分な説明はいまだになされておりません。

これは単なる事務処理のミスではありません。

行政文書の信頼性そのものに関わる重大な問題です。

百条委員会だからこそ、ここまで事実を明らかにすることができました。

だからこそ、この問題は「手続上の不備だった」で終わらせてはならないのであります。

また、知事は給与減額条例を提出されました。

私たちは責任を取ることに反対したのではありません。

百条委員会の調査が終わる前に、自ら区切りをつけようとしたことは適切ではなく、県民の信頼を失った重さに比べても十分ではないと判断したからです。

責任の取り方を決めるのは知事です。

しかし、その責任が果たされたかどうかを判断するのは県民であり、議会です。

私たちは、現時点では責任は果たされていないと判断しました。

だからこそ、この問責決議に賛成します。

最後に申し上げます。

法治国家において、目的は手段を正当化しません。

行政は、その政策目的が何であれ、自らの適法性を県民に説明し、証明できて初めて信頼を得ることができます。今回のワシントン駐在問題は、その最も基本的な著しく損なわれた事案でありました。

そして、私が最も危惧しているのは、この問題の検証が、組織の責任ではなく、現場の職員への反省にすり替えられてしまっていることです。百条委員会の調査を通じて見えてきたのは、一人の職員が勝手に判断して進めたという話ではありません。組織の中で、職員が判断できない中で業務を進めざるを得なかった実態であります。

にもかかわらず、県の検証は、なぜそのような組織になったのか、なぜチェック機能が働かなかったのか、なぜ幹部が止められなかったのかという本質に十分踏み込まず、結果として組織を守る説明、言い訳を探す検証に終始したと言わざるを得ません。

私は、そのような組織で、職員は安心して働けるのでしょうかと問いたいのであります。

本来、組織の責任は組織の幹部が負うべきです。現場の職員を守るのが幹部の責任であり、その責任から目を背ける組織に、県民からの信頼は生まれません。

知事はこれまで「誰一人取り残さない県政」を掲げてこられました。

しかし、その理念は、まず県庁で働く職員に対して示されなければならないのではないでしょうか。

組織の責任を曖昧にし、現場だけに負担を負わせるのであれば、「誰一人取り残さない」という言葉は、残念ながら県民にも職員にも届きません。組織の幹部が職員を守れない県政が、県民を守ることなど到底できるはずがありません。

だからこそ、本決議は、失われた県民の信頼を取り戻し、組織として責任を明確にし、法治行政の原則を県政に取り戻すための、県議会としての意思表示であります。

議員各位の御賛同を心からお願い申し上げ、私の賛成討論といたします。


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