[ 提案理由 ] 玉城康裕沖縄県知事に対する問責決議について / 大浜一郎

令和8年7月13日(月)
令和8年第2回沖縄県議会6月定例会(最終日)
議員提出議案第3号「玉城康裕沖縄県知事に対する問責決議」について、提出者を代表し、大浜一郎議員が提案理由並びに案文を説明しました。本議案は賛成多数で可決されました。
案文
玉城康裕沖縄県知事に対する問責決議
平成30年9月に就任した玉城康裕沖縄県知事の下で運営されてきたワシントン駐在をめぐっては、その設立から閉鎖に至るまでの一連の行政運営について、行政の適法性、適正性、公正性及び透明性に重大な疑義が生じ、 県政に対する県民の信頼を著しく失墜させる結果となった。
本件については、 監査委員による監査、 県が設置した調査検証委員会及び県議会におけるワシントン駐在問題調査特別委員会による調査を通じ、 法人設立手続、契約締結、予算執行、 文書管理、 意思決定過程及び内部統制に至るまで、 多岐にわたる問題が明らかとなった。
これら調査の過程では、権限及び責任の所在が明確でないまま事務が進められていたことが指摘されるとともに、不適切かつずさんな事務処理の実態が明らかとなり、 公文書の作成及び保存、 決裁手続その他行政運営の基本に関わる事項についても、その適法性及び適正性に重大な疑義が生じた。
また、県議会への説明内容、提出資料及び関係者の説明は、調査の進展に伴い幾度も修正または変更される結果となり、県民及び県議会に対する説明責任が十分に果たされたとは認め難い状況となった。
さらに、百条委員会における証人尋問及び関係資料の調査を通じ、本件は単なる契約や文書の問題にとどまるものではなく、法人設立、委託契約、予算執行、文書管理、意思決定及び内部統制に至るまで、行政運営の各段階において問題が連続的に発生した事案であることが明らかとなった。
これらの事実は、一部職員による個別の事務処理上の誤りとして捉えることはできず、行政組織として本来機能すべき内部統制及び監督体制が十分に機能しなかったことを示すものである。
その後、ワシントン事務所は閉鎖に追い込まれるとともに、関係職員に対する訓告処分に加え、知事は自ら給与を減額する条例案を提出するに至ったが、 これら一連の措置は、県自ら本件に関して行政運営に重大な問題が存在したことを認めたものと受け止めざるを得ない。
しかしながら、今議会において給与減額条例案が、 なお百条委員会による調査及び最終報告が終了していない段階で再度提出されたことは、 県議会による事実認定及び責任の検証が継続している中で、早期に幕引きを図ろうとしたものと捉えられかねないと言わざるを得ない。
また、本件が県行政の適法性、公正性及び透明性に対する県民の信頼を著しく失墜させた重大性に照らせば、給与減額のみをもって知事が自身の政治的責任を尽くしたものと評価することは困難である。
地方公共団体の行政運営は、法令の遵守のみならず、 公正性、透明性及び説明責任に対する県民の信頼の上に成り立つものである。
本件は、 県政の根幹を支えるこれらの基本原則に対する県民の信頼を著しく損ない、県行政全体に対する信用を失墜させた。
行政運営の最終責任は、個々の職員ではなく、県政を統括する知事が負うべきものである。
知事は、百条委員会による最終報告及びその指摘事項を真摯に受け止めるとともに、給与減額のみをもって政治的責任を尽くしたものとすることなく、県民の理解と納得が得られる責任の取り方について改めて判断すべきである。
よって、沖縄県議会は、一連の沖縄県ワシントン駐在問題に係る政治的及び道義的責任は極めて重大であると判断し、ここに玉城康裕沖縄県知事を強く問責する。
上記のとおり決議する。
令和8年7月13日、 沖縄県議会、 沖縄県知事宛て
提案理由
今回、私どもが本議案を提出した最大の理由は、ワシントン駐在をめぐる一連の問題について、 その原因と責任に見合った抜本的な再発防止策が、 現在に至るまで何一つ示されていないということであります。
県が設置した調査検証委員会は、 その最終報告書において、DCオフィス社の設立手続には複数の重大な瑕疵が存在し、その瑕疵の治癒も事実上困難であると指摘しております。
さらに、その瑕疵が連鎖する形で、その後の運営についても違法となる可能性を否定できないとし、地方公共団体には、自らの行政手続が適法であることを県民に対して証明する責任があるとの厳しい見解を示しております。
加えて、DCオフィス社の設立については、米国ワシントンDCに駐在職員を配置するという公約の実現が絶対視された結果、日本法及び米国法について十分な調査を行わないまま、拙速に進められたとの印象を拭えないとも指摘されております。
すなわち、調査検証委員会が求めたものは、単なる職員の意識改革ではありません。
法務機能を含む組織体制の再構築であり、行政手続そのものの見直しであり、適法性を担保する仕組みの整備であります。
しかしながら、県がその後まとめた報告書において、「得られる教訓」として示されたのは、情報収集や事前検討を行うこと、適切な職員配置を行うこと、委託先や関係者とのコミュニケーションを十分に図ること、 関係法令を把握すること、そして文書を作成し保存することなどでありました。
これらが必要であることは、言うまでもありません。
しかし、本件の重大性に照らせば、それだけで十分な再発防止策と言えるのでしょうか。
本件は、コミュニケーション不足だけで発生したものではありません。
一人の職員が法令を十分に確認しなかったというだけの問題でもありません。
法人の設立、契約、予算執行、文書管理、意思決定及び監督という、行政運営の各段階において問題が連続し、それを組織として止めることができず、是正措置を講じることもできなかったという重大な事案であります。
そうである以上、必要なのは、職員一人一人に注意を促すことだけではありません。
海外における新たな事業を開始する際の意思決定手続をどのように改めるのか。
法務部門による事前審査を、どの段階で、どのように義務づけるのか。
法人設立や外国法が関係する契約を 誰が審査し、誰が最終的な責任を負うのか。
知事、副知事その他の幹部職員に、重要事項が確実に報告される仕組みをどのように構築するのか。文書による決裁と記録の保存を、組織としてどのように担保するのか。
そして、内部統制が機能しなかった場合に、誰がそれを発見し、是正するのか。
こうした制度的かつ具体的な再発防止策こそが、示されなければなりません。
ところが、県の報告書は、職員が心がけるべき一般的な教訓を列挙するにとどまり、調査検証委員会が求めた法務機能を含む体制の再構築や、意思決定、契約審査、監督及び内部統制の抜本的な改革について、具体的な道筋は何ら示されておらず、報告書公表以降も取り組みがなされているとはいえません。
特に欠けているのは、県政の最高責任者である知事が、今回の問題を受けて、県庁の制度と組織をどのように変えるのかという視点であります。
職員に反省を求めるだけでは、真の再発防止にはなりません。
個々の職員の注意力や意識に依存する仕組みのままでは、担当者が替われば、同じ問題が再び起こるおそれがあります。
必要なのは、誰が担当しても適法かつ適正な判断が行われ、不適切な事務が途中で止まり、重要事項が責任者まで確実に報告される制度であります。
にもかかわらず、知事は、抜本的な制度改革を県民に示すよりも先に、百条委員会の調査及び最終報告が終了していない段階で、自らの給与を減額する条例案を再び提出いたしました。
責任の全容が明らかになっていない段階で、自ら責任の区切りをつけようとすることは、再発防止よりも早期の幕引きを優先したものと受け止められかねません。
私どもは、知事に責任を取るなと申し上げているのではありません。
責任を取るのであれば、百条委員会の最終報告を真摯に受け止め、問題の全容と責任の所在を明らかにし、その上で、県民が理解し、納得できる責任の取り方を示すべきであると申し上げているのであります。
そして同時に、二度と同じ問題を起こさないため、法務審査、意思決定、契約、文書管理、幹部への報告及び内部統制の仕組みを、抜本的に改めなければなりません。
責任の所在を曖昧にしたまま、真の再発防止を実現することはできません。
本決議は、過去の失敗を非難するためだけに提出するものではありません。
失われた県民の信頼を回復し、法令に基づく適正な行政運営を取り戻し、同様の問題を二度と繰り返さない県政を築くため、県政の最高責任者である知事の政治的及び道義的責任を明確にするものであります。
議員各位におかれましては、本決議案の趣旨を御理解いただき、御賛同賜りますようお願い申し上げ、 提案理由の説明といたします。
本議案に対する賛成討論



























