小渡良太郎

[ 議員提出議案 ] 那覇軍港における米軍の訓練に関する意見書及び賛成討論


令和4年3月30日
沖縄県議会 令和4年第1回議会(2月定例会)

那覇軍港における米軍の訓練について関係要路に要請するため、議員提出議案第三号について、提出者を代表して、仲村家治が提案理由を説明しました。

そして、議員提出議案第三号に対する賛成の立場で小渡良太郎が賛成討論を行いました。



■那覇軍港における米軍の訓練に関する意見書■


在沖米軍が令和四年二月八日から十三日までの間、那覇港湾施設(以下「那覇軍港」という。)で訓練を実施した。米軍の説明によると、本訓練は「非戦闘員避難活動」訓練であり、戦闘訓練ではなく、非戦闘員を人道的活動として非戦闘地域へ避難輸送する訓練であった。

国民保護において、県知事は「武力攻撃から国民の生命、身体及び財産を保護し、国民生活等に及ぼす影響を最小にするための避難・救援・武力攻撃災害への対処等の措置」が責務として示されている。

ロシアがウクライナに侵攻し、武力による権利の侵害に対する認識が各国で高まっている。台湾と国境を接し、尖閣諸島を行政区域として保有する沖縄県周辺では政治的に緊張が高まっていることから、決して他人事として考えるのではなく、国民保護を議会としても現実課題として受け止め、有事等に起因する県民保護等を真剣に考えなければならない。

ロシアがウクライナに侵攻することにより、軍事施設だけでなく民間施設から多くの一般人犠牲者が出たことから、県民の生命を保護するための集団避難は重要なことである。

一度に大量の避難輸送は、航空機ではなく船舶でなければできないことから、非戦闘員の人道的避難訓練を輸送港である那覇港で行うことは、「船舶による人員避難輸送」という一連の流れから、港湾施設那覇軍港の主目的に沿うと容認せざるを得ない。

訓練では、那覇軍港に侵入する際も海上部から行うなど市街地上空を飛行しない配慮はされたが、突然の航空機による飛来や騒音などが近隣の住民に大きな影響を及ぼしたことは、誠に遺憾であり、米軍による訓練の通知は訓練前日であったため、県民に対する説明するいとまもなく、県民から航空機の騒音等に対する不安や不満の声が高まった。

沖縄県が制定する沖縄県国民保護計画では「県は、必要に応じ在沖米軍の協力を得て円滑に国民保護計画を実施するため、在沖米軍との連携体制の整備に努めるものとする。」とあるが、今回のような手法で訓練等が継続的に続くことについては、県民からの理解は得られにくい。

よって、本県議会は、下記の事項が速やかに実現されるよう強く要請する。


一 訓練の実施に当たっては、関係自治体を含めた調整及び通知を行うこと。

二 同様の訓練を行うに当たり、那覇軍港以外での訓練適地がないか調査すること。


参考資料:那覇軍港における米軍の訓練に関する意見書


討論を終えて

今回、「那覇港湾施設内での米軍の要人保護・避難訓練」に係る議案第3号の意見書について、賛成の立場から討論いたしました。

今回の訓練について、訓練場所が密集市街地に隣接する地域であったこと、前例のない訓練であるにも関わらず前日通知という周知説明の暇がない状況で挙行されたこと等、遺憾に思うことは少なからずあります。

ただし一方で、私が軍特委で何度も追及しているように、沖縄県側の平素のコミュニケーションに関する努力の足りなさについては、米軍基地から派生する問題の解決のためには必須のことであると考えます。

特に「非戦闘員の避難・救出」のための活動については、現代日本では国民保護法によって「その主体は都道府県である」と規定されており、我が沖縄については、77年前の沖縄戦時においても「住民避難の実施主体は県および警察」とされていましたから、沖縄戦における悲惨な住民被害を二度と繰り返さないためには、県民の避難に関するあらゆる事柄を真剣に考えなければならないはずです。

しかしながら残念なことに、尖閣や台湾など沖縄周辺の交際情勢の悪化を見ても、県は「国防と外交は国の専権事項」として県民の保護に係る計画を円滑に実施するための訓練等は一切行なっておりません。

今回の意見書の宛先は国の関係諸機関ですが、沖縄県の現状を憂う気持ちも多分に含まれていると理解しています。

77年前の沖縄戦や現在のウクライナの状況から学ばなければならないことは、「いざという時に県行政は何をすべきか?」ということに他なりません。

この討論をきっかけに、県行政の責任ある行動がひと掬いでも掘り起こせることを期待しています。


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